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脳梗塞や心筋梗塞が起こる仕組み

私たちの体の中では、動脈と静脈の間を無数の毛細血管が繋いでいます。この毛細血管は一層の薄い細胞(内皮細胞)からなるので血管壁が薄く、外傷によって破損しやすくなっています。

そこで、破損した血管からの血液流出を防ぐために血液を凝固させる仕組みがあります。血管が傷つくと、その部分に血小板が集まります。次にフェブリンというタンパク質が集まった繊維が生成され、赤血球などの血球が絡め取られて血餅(けっぺい)ができます。この一連の流れによって出血が止まるというわけです。

外傷などによる血管の傷は血餅で止血されている間に修復されます。また、血管の修復と共にフェブリンを分解して血餅などを溶かす線溶(フェブリン溶解)という仕組みがはたらき、傷が治る頃には血餅が取り除かれるという仕組みです。

ここまでは外傷による血管の破損について話してきましたが、実は血管の内部(血管内壁)が傷ついて血餅ができることもあります。例えば、コレステロールが血管内に溜まりすぎた時などです。

この場合も血餅は取り除かれるのですが、線溶(フェブリン溶解)がうまく働かずにそのままになると血管がつまり、血液が正常に循環しなくなります。これが「梗塞」です。

そしてこれが脳や心臓の血管で起こると、脳梗塞心筋梗塞となるわけです。

※冒頭の画像はフェブリンからなる繊維によって赤血球が絡め取られている様子。

※参考文献:嶋田正和ほか14名,「生物基礎」,数研出版,(2016).

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