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タンパク質の変性や失活について解説します!!

以前の記事でタンパク質全体の立体的な構造を三次構造と呼び、立体構造によってそれぞれのタンパク質は特定の機能を持つことを紹介しました。例えばヒトの涙や鼻水の中に含まれるリゾチームという酵素は細菌の細胞壁にある多糖類の結合を切断して細菌を殺してしまう働きをもっています。なぜこのような働きを持つかといえば、リゾチームは細菌の細胞壁の多糖類だけが結合するくぼみ(活性部位)をもっているため、このくぼみに多糖類が挟み込まれると、多糖類を構成する糖と糖の間の結合が切断されるからです。このようにタンパク質のある特定の部位に特定の物質だけが結合する性質を特異性と言います。特異性は酵素だけでなく、情報伝達に働く受容体(レセプター)や抗体などで見られます。

ここまでの内容をまとめると、タンパク質が機能を発揮するためには特定の立体構造を持つことが重要という事になります。つまりタンパク質分子の立体構造がなんらかの原因で変わると、その性質や機能も大きく変化するという事になります。例えば、熱湯や酸・アルカリ、ある種の重金属の存在は分子の立体構造の変化に大きな影響を与え、性質や機能を変化させます。これをタンパク質の変性と言います。また変性によってタンパク質が働きを失うことを失活というのです。

参考文献:嶋田正和ほか22名,「生物」,数研出版,(2017).

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