免疫の仕組み その3 〜食作用〜

<これまでの復習>

免疫とは体を異物から守る仕組みで3段階の防御機構から構成されています。そして前回の記事では1つ目のの防御機構である物理的・化学的防御について紹介しました。なので今回は2つ目の防御機構である食作用について紹介します。

<食作用とは>

食作用とは読んで字のごとく、食細胞が病原体などを食べて(取り込んで)、消化・分解して排除する作用のことです。食細胞は出会った全てのものを取り込んでいるわけではなく、ウイルスや細菌などの異物が共通してもつ特徴を認識してから食作用を行っています。そして、食細胞には好中球マクロファージ樹状細胞がいます。他にも自然免疫を担う細胞には異常な細胞を排除するナチュラルキラー(NK)細胞がいます。異常な細胞とは病原体に感染した細胞やがん細胞などです。ナチュラルキラー細胞は樹状細胞などからの攻撃指令(抗原の認識)を必要とせずに標的細胞を排除するので短時間で反応します。しかし特定の異物だけに反応することはできません。

※自然免疫・・・物理的・化学的防御と食作用をまとめた総称のこと。

<食細胞の役割>

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<炎症が起こる理由>

怪我をした時に熱をもって赤く腫れること(炎症が起きること)があると思います。なぜ炎症という不快な症状が起きるのでしょうか?その理由は食作用をより活発にして組織の修復を早めるためです。炎症が起こると血管が拡張して血流が増え、食細胞が組織に集まりやすくなります。そして発熱によってよって食細胞の能力がブーストされるのです。その結果、食細胞が活性化され傷の治りが早くなります。また、炎症による痛みなどの不快感は体からの警報であり、痛みを避けて安静を保つことで治癒が促進されるのです。

※樹状細胞は、皮膚や鼻、肺、胃、腸の内壁など、外部環境と接触する組織に存在する。

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参考文献:嶋田正和ほか14名,「生物基礎」,数研出版,(2016).

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