免疫の仕組み その2 〜物理的・化学的防御編〜

<前回の復習>

前回の記事で免疫とは生物の体を守っている仕組みである事を説明しました。そして免疫は3つの防御機構から構成されていて、1つ目の防御機構が物理的・化学的防御によって異物が体内へ侵入する事を防ぐというものでした。今回はその部分に重点をおいて説明していきます。

<物理的防御>

まずは皮膚です。皮膚は表面に近い所にある表皮とその下にある真皮に分かれています。そして表皮の底部では細胞分裂が活発に行われており、分裂した細胞は表層に向かって押し出されます。このようにして皮膚のターンオーバーが起きるんですね。そして細胞は表層へ押し出される過程でケラチンというタンパク質を合成し、皮膚の表面で角質層を形成します。この角質層が皮膚バリアの役目を果たし、病原体などが体内に侵入するのを防いでいるのです。鼻や口、消化管、気管などの内壁を占める粘膜も外界と接していますが、粘膜は表面が粘液で覆われており異物が体内へ侵入するのを防いでいます。特に消化管や皮膚には常在菌と呼ばれる多数の細菌が生息しており、この常在菌のおかげで病原体となる他の最近が繁殖することが抑えられています。顕微鏡で腸の中を覗くと常在菌がお花畑のように群生しているので腸内フローラと呼ばれたりします。他にもくしゃみや咳・たん・気管の繊毛上皮による異物の排除があります。

<化学的防御>

皮膚にある皮脂腺汗腺などからの分泌物は皮膚の表面を弱酸性(PH3~5)に保っており、病原菌の繁殖を防いでいます。また皮膚や粘膜からの分泌物には微生物の細胞壁を分解する酵素であるリゾチームや細胞膜を破壊するタンパク質の一種であるディフェンシンなどが含まれています。他にも、涙や鼻水・唾液・胃液などによって病原菌が殺菌されています。

参考文献:嶋田正和ほか14名,「生物基礎」,数研出版,(2016).

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