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転売ヤーと独占企業@永久退会は妥当なのか?

福山雅治さんのファンクラブ「BROS.」による、「ライブのチケットを売った側も買った側も強制的に永久退会」とする転売対策が大きな反響を呼んでいます。Twitterでは一時「永久退会」がトレンド入りする事態となりました。

福山さんのファンクラブ「BROS.(ブロスと読むそうです)」の運営がチケットの転売に関して、売った側だけでなく買った側もファンクラブを「永久退会」させるという声明を出しました。不正と見做されたチケットはもちろん無効ですし、チケット代金や手数料の返金はいっさいありません。BROS.の運営は以前から、チケットの分配を不可とするなどの転売対策を行っていたんですが、やはりそれでも転売はなくならなかったんでしょう。そして、僕個人の意見としては、今回の「永久退会」を見据えた転売対策には賛成です。

なぜなら、ライブチケットの転売ヤーは「独占企業」に近いからです。独占企業というのは、例えば電力会社を想像してみればいいでしょう。電力会社は最初に電線を引かなければいけません。これには莫大な投資が必要ですが、いったんできてしまえば、供給する電力が2倍になろうとあまり追加コストはかかりません。よって最初に電線を作ってしまった会社が市場を独占してしまうことが可能なのです。このように新規参入がほとんど不可能になると、利用者はどんなに高い料金でも既存の会社の言い値を払わざるをえません。

これをライブチケットにも当てはめて考えてみましょう。転売ヤーは最初に大量のチケットを買わなければいけません。これには莫大な投資が必要ですが、いったん買ってしまえば、チケットの数が2倍になろうと、販売のための手間はそれほど変わりません。そしてチケットが完売してしまえば、福山さんのファンはどんなに高い料金でも転売ヤーの言い値を払わざるをえないのです。

ところで、こんな意見もあります。転売市場はチケットの価値を市場原理に基づいて反映する場所であり、適正な価格に落ち着くという意見です。しかし、市場が失敗するケースもいくつか知られていて、例えば「外部不経済」や「情報の非対称性」なんかがあるんですけど、今回紹介した「独占企業」も市場が失敗する典型的なケースの一つです。こういったケースでは、市場の自由な競争だけでは不十分な場合があり、政府が介入することもあります。電力料金の調整に政府が関わっていることからもそれは明らかですよね。ライブチケットの転売もこれと同じ文脈で、市場の自由な競争に任せず、ファンクラブの運営が取り締まるということも時には必要だと僕は思います。今日は以上です。

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