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あの日々

成人式。ついにこの日がやってきた。

気に入りすぎて一瞬で選んだ黄色の振袖を着て、前日にできたニキビをしっかりと隠してもらい、私はこの日を迎えた。一緒に行った友達3人とは相談していないのに振袖の色が見事に被らなかったので「なんだかプリキュアみたいだね」などと、ハタチにもなってそのような会話をした。中学の時の友達といるとそこから時が止まっているような、良い意味でも悪い意味でも何も変わっていないところが今日はとても懐かしかった。会場ではかつての同級生をちらほら見かけた。その多くがそこまでの友達ではないので「あ、、○○だ」と心の中で思いつつ、気づいていないふりをした。そんな私もなにも変わっていない。

実は少しソワソワしていた。数年前、私の頭の中を占領していた大好きだった男の子がいるかどうか、考えていた。本当はちょっと探していた。もう好きじゃない。むしろ腹が立つ。見かけても、声をかけられても逃げ出すかもしれない。だけど、やっぱり気になっていた。悔しいけどこの数年間、ずっと私の特別な存在だった。

好きだけど付き合えないと言われたあの時。もうその時点で私と彼が会うには約束をするしかなかった。学校に行けば当たり前に会えて、話せるような環境ではなくなっていた。それでも好きで、たくさん傷ついて、それからもう好きじゃなくなって、そうしたらあっちから話しかけてきて。最初から今まで振り返ればずーっとすれ違っているような気がする。もう好きじゃなくても、彼女が出来たと噂に聞けば、私とは付き合わなかったのにその子とは付き合うんだと勝手に比べてしまうだろう。一瞬だけ女の子と付き合っていたこと以外、そんな話は聞いたことがないんだけどね。それは、かつて選ばれなかったということがトラウマになっているから。選ばなかったことを後悔してほしいと思い続けているんだと思う。あっちもあっちでいつまでも私のことが気になっていそうで気持ち悪いけど、私も執着があるみたいでお互い様かもしれない。だからいつまでも数年前のことを、彼のことをここに書き続けている。あの時の私を早く救いたいよ。選ばれなかったからそれを見返したいと思っているけど、選ばなかったくせにまだ私のことを追いかけてくるの、本当に無理だけど少し優越感。これは内緒。

話を戻して。

もう会いたくないという気持ちと、あって後悔させたい気持ち。どっちも持っていたけど、人が多すぎて結局成人式で会うことはなかった。同窓会には行かなかったから、もう一生会うことはないのかな。振られて辛かった時期、次会うのは成人式なのかな、遠すぎる、、、と悲しんでいた数年前のかわいい私へ。成人式の時はそいつのことはもう好きじゃないし、大好きな彼氏が会場まで花束を持って迎えに来てくれるよ。同窓会には自分の意思で行かないって決めたし、いまちゃんと幸せだよ。だけど、やっぱり時々まだ考えることもある。それを彼氏に対して後ろめたいと思ってしまうけど、自分の中で消化することを急がなくても大丈夫。大丈夫だよ。

同窓会はその男の子がいるのもそうだけど、他にもあまり会いたくないというか、私のこと好きでグイグイ来るだろうと予想される男の子が何人かいたので行かないことにした。自慢しているような書き方になってしまったけど、彼氏もいるのに心配させるような場所に自ら行くことをする気にはなれなかったのでやめた。彼氏は本気で私のことを1番かわいいと思っているので、中学の同窓会に行かないことにしたと伝えるとものすごく喜んでいた。犬みたいでかわいい。当日は焼肉に連れてってくれたよ。私のことストーリーに出したら2スクロール分くらいのいいねが来たらしく「○○ちゃんがかわいいからみんな祝ってるんだよ!やっぱりかわいいなあ〜」と私が隣にいるのに振袖の写真見返してた。かわいい。

後日、友達からLINEが来た。成人式でも会えなかった友達。「会いたかったよ〜〜」と言ってくれた。久しぶりに会話をしていると、同窓会で大好きだった男の子が私のことを探していたと言っていた。この友達は私と彼の共通の友達で、私たちがそのような色々あった仲だということを知らない。教えてないことに対してはごめんと思っているけど、みんなで仲良しだと思ってくれているからこれからも言わないんだと思う。友達とその男の子で「○○(私)いないね」って言って探していたみたい。それを聞いて、いつまでも私のことを気にし続けている彼と、それに気づいて優越感に浸っている私の関係が色濃く表されていると思うと同時に、あんなに追いかけていたのに今では追われているんだということにも改めて気づいた。学年全体の集まりで私のことまだ探してるんだね。あの時ごめんねとでも言うつもりなのかな。バレンタインのお返し貰ってないけど今更くれるの?それとも、なにもなかったフリして「久しぶり!」って無神経に話しかけようとしてたのかな。なんでストーリーにDMしてきたり、インスタの投稿にコメントしたりしてくるの?って聞いといた方が良かったかな。

こんなに意識してる人と同窓会で会って話して、絶対に迎えに来るであろう彼氏には「なにもなかったよ〜〜」なんて嘘つく私ではいたくないから、行かなくて正解だったかな。こんな私でごめんねと心の中で彼氏に謝る。

そんな私の成人式でした。あれから数年経って、あの日々の記憶も薄れてきて、君との思い出も消えかかっているけれど。大好きなところも大好きな時もありました。君でいっぱいのかわいい私も存在してた。でも、大嫌いなところが今ではたくさんあります。残念だろうけど、もう終わりだからね。次会うのは本当にお互いにどうでもよくなった時だよ。出会って好きになったのは15歳、最後に会ったのは17歳、今は20歳。友達も家族も彼氏も大切にして、自分のことは1番大切にしよう。それがあの日々の1番の学び。君に傷つけられたから気づいたよ、ありがとうね。

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