二〇年ほど前から、ビタミンD欠乏が股関節骨折のリスクを高めることは指摘されていた(中略)骨粗鬆症で折れやすいのは手首、股関節、椎骨で、とりわけ股関節骨折は二〇パーセントの人が死に至り、障害が残って自立した生活が送れなくなることも多い。この骨粗鬆症に深く関わっているのがビタミンD不足である。女性は三〇〜三五歳から、男性は五五歳ごろから一年に一パーセントずつ骨量が減少していく。ことに女性の場合、閉経が追い打ちをかける。骨のカルシウム吸収を助けるエストロゲンというホルモンの分泌が落ちるからだ。骨が細くなり、内部がハチの巣状にすかすかになって、ふとしたきっかけで折れてしまう。いちばん折れやすいのは股関節と手首で、背骨もすり減っていわゆる「腰が曲がった」格好になる。ひどいときには骨量が三分の一にまで減っているため、骨粗鬆症で折れた骨は治すのが難しい。また骨が元の状態に戻ることはないとされており、治療といってもそれ以上の悪化を防ぐことしかできない