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あしあと15日目~おいていかないで~

今日も業務は忙しくはない。
忙しくないからこそ、細々とした小さな割り込み仕事に、奔走することが多くなる。

今日は1時間ほど片付けもした。放っておくとすぐに散らかってしまう。けども最近私は家が綺麗だ。だから今度は職場だ。1年目のときほど、美しさに対しての執着はなくなったが、ものを捨てるのは大好きなので、どさっ、どさっと、ゴミ箱に紙を放りこんでいる。この瞬間がたまらない。

「こうやって大掃除したら気持ちいいでしょう?」キャサリンが笑顔で声をかける。「私もともとものを捨てるのが好きなんです。」
するとキャサリンは、「え、じゃあなんでいつもそんなに散らかってる…のはなかなか業務が忙しくてまわらないのか」
すきあらば文句を言われそうになる。もう本当にこの人は!!根っからのネガティブだ。でも彼女なりにフォローして、忙しいもんね…と付け足してくれてはいる。(あんまりフォローになってへんで!!)と心の中で毒づく。彼女は本当に人に厳しい。人に厳しい人は自分にも超厳しい。だからこそ、他人への厳しさに無自覚だ。私はこんなにがんばっているのに、という気持ちがどこかしらで生まれてしまう。だからこそ、私は少しゆるく生きていきたいと思うのである。…仕事をするものとして失格かしら。

1時間ほど微妙な残業をし、ジムにいった。トレーナーさんとの話は死ぬほど盛り上がらなかった。

帰宅後、昨日作った自炊の残りを食べながら、インスタグラムをチェックした。私の大学時代の、大好きな友達が、珍しくストーリーを更新している。

頭を殴られたようだった。彼女は、見違えるほど美しく、いかにも仕事のできそうな、5年目くらいの都会的なOLそのものであった。大学時代はサブカルに傾倒し、毎日驚くような面白いことを見つけてきた友達。ピンク映画にはまって、実際に見に行ってえらい目にあったり、研究室にスイカを持ってきたり。かなりとがっていた。今、彼女の明るい栗色の髪はおしゃれに結われ、彼女の線の細さが際立っていた。私はいまだになんだか芋くさい髪型で寝癖を付けて出勤しているのに、なんだか自分が置いて行かれているようで、すごく寂しく感じた。

あの子は今を全力で生きている。もしも、あの子の進むスピードが、私を振り払い、もう会うことがなくなってしまったらどうしよう。私を面白くない、もう会わなくていいって思われたらどうしよう。私は彼女と、おばあちゃんになっても、時々コーヒーを飲みたいんだ。忘れないでいてくれるだろうか。

来週、彼女に会える。大好きな彼女に見合う自分でいるためにも、仕事を頑張りたい。

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