闇聖騎士の巡遊 冒頭800字

「お前はいいよな」おじさんが言った。「ガキはいいよ、イイ。俺もガキになりてえ」「おじさんじゅうぶん子供みたいだよ」「ウガゥッ!」「わ!?」「ガキが生意気な事言うんじゃねえ!」「そういうとこだよ…」

オジサンはまた寝そべり、傍にあった雑草をむしって食べた。「きたないよ」「ダイジョブだ」「犬のおしっこかかってるかもよ」「そういう味はしねえな」「きったね」おじさんと居るとぼくの言葉も汚くなった

「何笑ってんだよ馬鹿にしてんのか?」「ううん」おじさんと出会って10日くらいたった。食べ物を持っていくと剣の稽古をしてくれる。誰にもナイショの秘密特訓だ。「あの馬鹿どもにはまだ勝てねえのか?」「うん」「腰抜け。昨日教えた通りにやりゃあ目ん玉の一個も潰せんだぞ、ヘタクソめ。本番に弱すぎだァ」ヒドイ言いようだけど悪い気にならない、不思議だ。アイツらの言葉は丁寧でもひどく悪い気分になるのに

「センセイ、そろそろ今日の特訓をお願いします」「うぅ~気色ワリ、どこで覚えんだそういうの」おじさんは立ち上がり、いつもの木板…ではなく、剣を

長く、厚く、重い、おじさんがいつも担いでいる、自分の剣をとった。

「ヨシュア、抜け。」初めて、おじさんは僕の名前を呼んだ。日は傾いて、もうすぐ夕方だ。東から風が吹き、村の風車を回す。小高い丘の端から見る景色はとても心地よかった。これがぼくの知る世界の全てだ。そしてその世界の外側から来たこの人が、ぼくの世界を少しずつ違うものに変えていく

「お前にかまけるのは今日で最後だ」おじさんが抜いた剣には、錆とは違う赤黒い汚れがついていた。「昨日、お前が帰った後すぐワーウルフ5匹とゴブリン12匹とオーガ3匹を斬った。斥候ってんだ」

東風は森の空気をいっぱいに吸って、終わった夏の匂いをぼくの肺に入れる。心地いい

「魔獣軍がこの村を通る。ヨシュア、最後に、お前に敵の殺し方を教えてやる」


【続く】


◆この作品は逆噴射小説大賞2020に遅刻した作品でありおれはあほでした◆

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ドーモ、澤村求深です 絵を描いたり描かなかったりします