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宰相オンブル考

本日7/12は宝塚星組のマチネを観劇。
ムラ遠征が叶わなかったので3回目のめぐタンテ。‪綺城‬さんが登場する度にその外見の美しさに脳のCPU根こそぎ持ってかれること2回。
今日こそは作品のテーマや役の解釈を理解深めたい…と臨んだもののまたもや登場1秒でノックアウト。
銀髪混じりの長髪、スラリとした立ち姿、よく響く低音ボイス、、、あかんて。

そんな見た目の美麗さに惑わされながらも「ここの演技はスゴイ…めっちゃ刺さる…」となっていた、宰相オンブルの退場直前シーン。
後半は台詞がなく、‪綺城‬さんの佇まいや表情から観客は全てを受け取る。

・・・めっちゃ刺さった。
めっちゃ刺さったけど何が刺さったのか?
すぐに言語化ができない。
彼の生き様や過去、そして作品テーマにも通じていそう。

分かった気がするけど受け取り切れてないかも、、、でもそこから逃げちゃヲタクがすたる(すたらない)と思い、足りない頭で分解してみた。
※元々お芝居理解力が乏しく、不足や誤認の恐れありありです。て言うかありまくりで浅い浅い内容ですスミマセン!

と言うわけでここからほぼ書き殴り。
退場直前シーン、それは物語中で最も重く複雑な感情と思われ、作品の結末として「勧善懲悪」の仕立てにしつつも本物の悪党ではなく彼の未来はきっと穏やかで明るい、そんな読後感を残すことで作品のメッセージが統合される、そんな印象。

このシーンや芝居が担う役割はとても重いと思うし、ほぼ初顔合わせの小柳先生から任されるのは安心信頼の‪綺城‬印みたいなものなんだろうと思いたくなる。(歌劇座談会でもそんな表現があったし、ロミジュリ座談会の小池先生コメントからも感じたところ。)

■キーワードの意味を再確認(引用)
承認欲求とは:「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という願望であり、「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれる。(中略)尊重のレベルには二つある。低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができる。ふむふむ。

■色々を整理

「悪事を働いた動機」から思い出そう。
ちなみに悪事=婿選びの不正(王女と双子幽閉、レグルス探偵事務所での脅迫文、そして壁の穴)で良いですよね、他に無いですもんね。

なんでこんな事したの、と。

① 王に裏切られたと思ったから
かつて自ら命を懸けて護った王女を自分ではなく血縁者でお気楽者(に見える/見せている?)ローウェル公爵に預けた王、それを「裏切られた」と受け取るところにオンブルの人となりが現れている。怒りや焦り。プライド。ある種の単細胞感。嫉妬深さなど。


② 王家と血縁に
血縁者になりさえすれば自分が求めるレベルの"尊重や承認"を王から得られると信じる短絡的な思考回路。「血、混ぜちゃえば俺っちが1番の臣下になれるはず。」的なこと?いやそんな単純ちゃうやろと、最愛の娘を武闘派のお家に預けられるかと言いたくなるけど、この辺も"体育会系"と小柳先生が称されるところと繋がるかも。


③ 叶わないなら息子と国外逃亡
普通なら謀反を起こしてもおかしくないムード、城内で剣を抜くなど。でもオンブルは国を乗っ取りたい訳ではなくて、自分の力(戦闘能力や軍での人心掌握力かな)を買ってくれる国のリーダーの元で要職に就こうと考えるし、その地位を継ぐ息子の為にもより盤石にしたいと考えている。
でもそうか、あくまでナンバーツーなんだなと。
「誰かの為に」と歌っている通りそう言う性質の人なんだと。(きっとロナンの母である妻の為に生きた日々もあったのでは…と妄想)
ジュディスの喉に剣を突きつけ自暴自棄に国外逃亡を果たそうとする様子は「国の大物が、情けない」と言う感情を生むけど、けども彼自身の成長譚には必要かつ重要な行動。

そして最後の崖っぷちシーンに繋がっていく。
悟りとも言える程、最後の表情は深く清々しかった。

その悟りにたどり着くまで何層にも色んな人からノックアウトを受けまくってたよね、ということでまずはルーチェから。剣をオンブルに向けながら話す。

① fromルーチェ
全て息子の為(だと信じてやってきたこと)なのだけど、実は独りよがりであったと。
息子を自分の野心を叶える従順な道具としてでなく、イチ人間として声を聞き信頼せよと。それが親子ではないのかと。(死に際の母の手を握れなかった過去を持つルーチェから言われる辺りもルーチェの成長を呈示してる気がした。ユリウスの台詞が効いてくるな。)

② fromロナン
父のことを尊敬しその野望を叶える為に役に立ちたいと思っている息子も、その父への忠誠と並行してジュディスと言う人を愛していると。愛人ではなく結婚して正妻に迎えたいと。
オンブルもまた(恐らく最愛の)妻を亡くした過去を持ち、自らが息子の本意への障害となっていたことに気づく。ここのルーチェ+ロナンからの体当たりの訴え。きっと昔の自分と重ねてたのかな…辛いよね…。

そんなことを大勢の前で息子本人から突きつけられて、屈辱もあったはず。でもここではもう自暴自棄にならないのもまたオンブル。長年仕えた王の前でやや後悔の色を滲ませた様に見える。人間臭さ。

③ fromマダムグラファイス
マダムから改めて過去の活躍と功績を讃えられるが(たぶん誰もが一目置く人から言われて自己肯定感がちょびっと刺激されたのでは)、今は国の為ではなく自身の為に動いている(=承認欲求)と明るく指摘を受ける。(まじで改めてマダムの人の動かし方すごい。王にも言っちゃうし。柚長さんだからこその説得力。小柳先生すごい。)

④ fromコーラス王
敬愛する王からは言葉にこそされていないけど「私はお前を見捨てない」というようなメッセージを受けここでようやく未来へ背中を押される。自分が過去積み重ねてきた事は間違いではなかった。けど、今やっていることとその動機には歪みがあった。改めて「人生の目的」みたいなものを見つめ直してみる、辺境で一からやり直す、そんな自分自身との会話と、「待っていてください…!」と言わんばかりの決心を、足の敬礼(なんて言うのあのビシって両足揃えるやつ)と背中で見せるあかさんすご。


このシーンのテーマは「他者承認ではなく自己承認ベースで自分らしく生きよ」と「次世代を信じて任せ継承せよ」とかだろうか。後者は座談会でも見た気がする。(読み直せよ)

ああ、目がショボショボしてきた。。。
次こそ外見の美しさばかりに目を取られず、生き様をメッセージをしっかり受け取りたい。。。

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