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キャリアポジショニング2.0 〜『バックオフィスキャリア』のつくり方 (1.1万字)


はじめに

こんにちは。
私は投資銀行で仕事をしていた17年間、4度の転職と海外勤務を経験しました。20代に思い描いた、海外でマネージャーとして仕事をするという目標を30代で叶えることができ、得意分野と専門分野での経験を生かしてキャリアをつくってきました。

しかし最初から順調にキャリアをつくっていた訳ではありません。なにをどうしたら思い描くようなキャリアを手にすることができるのかしら?と悩み続けたことや、思い描くキャリアと自分のキャリアのギャップの大きさに大きな溜息が出たこともあります。


けれど、試行錯誤をたくさん経験したからこそ、今キャリア形成で悩んでいる方にメンターとしてお伝えできることがたくさんあります。会社員時代には採用担当としてたくさんの候補者とお会いしてきた経験から、採用者目線でお伝えできることもあります。


私は、30代中盤でサバティカル休暇を取り、お仕事をしていない時期もありましたが、1年間のブランク+アラフォーという状況でも問題なく再就職することができました。

またメンターとして仕事を始めてからも、転職活動に苦戦していた方やエージェントから年収アップやキャリアアップの転職は難しいと言われた方が転職を実現するケースを多くみてきました。


アラフォーだから、ブランクがあるから、そんな理由で転職や就職ができないということはありません。理由は別のところにあります。
転職活動中の方も、これから転職活動をする方も、このnoteを読み進めていくうちに、

なぜ思うようなキャリアをつくることができないのか?
なぜ転職活動がうまくいかないのか?


この2つの理由を解明するとともに、

『私にも転職できるかもしれない!』

『望むキャリアをつくれるかもしれない!』

そんな風に思っていただけたら幸いです。


キャリアの悩み、共通点とは?

キャリアメンターとしてたくさんのお客様のキャリアのお悩み相談を受けてきました。セッションにいらっしゃるお客様にはいくつかの共通点があります。それは、


転職をしたいけれど、スキルも経験もなく自信がない

他社で通用するのか分からない

自分の市場価値が分からない

今後どのようなスキルを身につけていけばいいか分からない

事務職からキャリアアップする方法が分からない


転職をしたいとは思いながら、上に挙げた理由で転職を諦めてしまう方が多いのですが、それはとても勿体無いことです。


仕事を紹介してもらえない理由

いざ転職活動を始めても、エージェントから

『紹介できる仕事はありません!』

と言われ、転職を諦めてしまう方がいます。


また、応募しても書類審査に通過できず、
『他社では通用しない』
と自信をなくしてしまう方もいらっしゃいます。


転職活動においては、ただ履歴書や職務経歴書を書いてエージェントに登録をすれば成功できる訳ではありません。特に30代以降の転職はしっかり自分の市場価値を理解しアピールしないことには、エージェントからお仕事を紹介してもらうことさえできないのが現状です。

また、転職エージェントによっては得意不得意があります。一度紹介案件がないからといって諦める必要は全くありません。

私自身、とある案件に応募するためにエージェントに連絡したところ「応募要件を満たしていません。また他にも紹介できる案件がありません」お祈りメールを貰った経験があります。(正直とても落ち込みました)けれどその後で、同じようなポジションに直接応募し面接通過した経験がありますす。全てのエージェントが必ずしもあなたの良さを分かってくれるとは限らないのです。


B to Cが進む転職市場

以前は、転職したいと思ったら転職エージェントに登録し仕事を紹介してもらうということが主流でした。

しかし最近はエージェントを使わずに、(または使っても最低限に留める傾向)企業はダイレクトに人材を採用する機会が増えています。コストカットに加えて、人材系ウェブサイトやリファラル採用の普及で、企業が優秀な人材へダイレクトにアクセスすることが容易になっていることが理由です。wami careerのメンティーも、LinkedInやビズリーチでスカウトされる方がとても多いです。


企業が人材へダイレクトにアクセスしやすくなったということは、それだけ転職市場に人が溢れ競争率が増していることを意味します。そのような状況の中で、経歴だけを列挙した職務経歴書・英文履歴書では別の候補者と差別化ができる訳もなく、ただただ埋もれてしまい、結果エージェントにも相手にされません。


ですから、エージェントに登録する段階で

しっかりと自分の市場価値を分析し、
それを職務経歴書・英文履歴書に反映させる

必要があるのです。


転職市場におけるポジショニング

ポジショニングとはマーケティング用語で、

『自社のビジネスや特定ブランドを顧客のニーズに合わせると同時に,競争企業あるいは競争ブランドと十分に差別を行ないながら顧客の記憶の中にユニークに位置づけること』(ブリタニカ国際大百科辞典)

転職に置き換えると、

『自分自身を企業の期待やニーズにマッチさせ、自分を他の候補者とスキル・経験において十分に差別を行いながら企業に選んでもらうこと』


どんなスキルや経験があるのか棚卸しをした後で、どんなスキルと経験を武器に自分という商品をどう打ち出していくか?を考える。
これが転職市場におけるポジショニングです。しっかりポジショニングを見極めることで、その後の転職活動が楽になります。


ポジショニングの難しさ

言うが易し行うは難しです。ポジショニングの定義はなんとなく分かっても、実際自分が他の候補者とどう差別化できるのか?市場価値は何なのかを分析することは難しいものです。

自分の価値が分からないばかりに、

転職活動に一歩踏み出せない
応募するも書類通過しない
応募することが目的になってしまった
面接に行ったけれどうまくアピールできない
やっと内定を貰ったけれど希望する会社ではない
非正規社員から正社員へチャレンジしたいけれど自信がなく諦めている

ということも。

自分のポジショニングが分からないままでは自信がないまま。結局行動できないという状況は変わらず終いです。


そこで、今回は転職に成功したお客様の事例をご紹介しながら、私が転職サポートでも実践している転職市場におけるポジショニングの方法をお伝えしたいと思います。

転職をしたい
将来の転職に備えたい
今後のキャリア形成に必要なスキル・経験を見極めたい
キャリアの軸を定めたい
書類通過率を上げたい
バックオフィスでキャリアアップしたい

この様な方のお役に立つ内容となっています。


ポジショニング診断

キャリアの棚卸しを行うにはまず仕事の役割について理解しておきましょう。


仕事の役割ピラミッド

キャリアアップ・年収アップするためにどうしたら良いですか?と聞かれます。

年収が高い会社で働くこと。もちろんそれも当てはまります。

もう1つの答えはとてもシンプルです。

仕事の役割を増やしていくことです。


仕事の役割ピラミッドについてお話しますね。

仕事には7つのレベルがあると考えます。ピラミッドにすると分かりやすいのですが、数字が大きくなればなるほど、スキルが必要になり難易度が上がっていき、それに従事する人も少なくなり、年収は上がっていきます。

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たくさんの方の転職サポートを通して分かったことは、このピラミッドの位置を低く認識してる方がとても多いということ。本当は4にいるのに、2だと思っていたり、5に近いことをしているのに4だと思っている方。チームマネジメントはやってるけれど人事評価はしていないからという理由で5だと思ってる方も。これでは、今持っているスキルも実績もアピールすることはできないのです。アピールできないスキルや実績はないも同じです。

ですから、スキルの棚卸しを行う前に、まずは今自分がピラミッドのどの位置にいるのか?を正しく認識する必要があります。

ピラミッドの位置が分かったら、4〜7のそれぞれについて実績を洗い出してみましょう。
また、もし4の改善にいる場合、複数の人連携しながらその改善を進めたかどうか思い出してみてください。それならばミニプロジェクトを立ち上げ、改善業務を推進した実績=プロジェクトマネジメントの実績にもなります。

自分がいるピラミッドの位置を一つ上に引き上げられないか?という視点を持ってみてください。


コアスキル

バックオフィスキャリア形成においては、マネジメントと専門性がコアスキルとなります。これら2つをいかに高めていきながら、他のスキルや経験を掛け合わせていくことが重要と考えます。けれど、マネジメントと専門性がありますか?と聞かれて自信を持ってあります!と答えられない方がとても多いのも事実。

①あなたのマネージメントスキルは5点満点で何点ですか?
②専門性・経験に点数をつけるとしたら5点満点で何点ですか?


そのように聞かれても点数をつけることは難しいですよね。多くの方が明確な基準を持たずに自分のスキルや経験を棚卸ししようとするために、

どんなことがスキルや経験になるのか分からない
あたり前にやってきたことがスキルや経験だと思えない
自分にはマネジメント経験も専門性もない!

となってしまうのです。
そのため、自分を過小評価してしまい転職する勇気も自信もなくしてしまうのです。

もう一度先ほどの質問に戻ってみましょう。


今度はマネジメント、専門性・経験それぞれ5つの質問を追加してみましたので、回答してみてください。
それぞれの項目で、質問にYesと答えたら1点として点数を集計してみてくださいね。

①あなたのマネジメント力は何点ですか?(  点)
・1年以上の管理職経験がある
・3年以上の管理職経験がある
・プロジェクトの規模関係なくプロジェクトリーダーとして仕事をした経験がある
・日常業務を上司からの指示を受けず自主的に進めることができる
・問題や改善事項は放っておけず率先して行う

②あなたの専門性・経験は何点ですか?:(  点)
・特定の専門分野・職種において3年以上の経験がある
・特定の専門分野・職種において5年以上の経験がある
・特定の専門分野・職種において10年以上の経験がある
・特定の専門分野・職種において実績が3つ以上ある
・特定の専門分野・職種において実績が6つ以上ある

(実績とは、業務改善・プロジェクトなど。詳細はこちらをご覧ください

いかがでしたか?
それぞれの項目に質問があることで、自分のスキルや経験が少し明確になったと思います。

それぞれ点数を確認してみてください。点数が高ければ良いという訳でも低ければ悪いという訳でもありません。今自分のスキルセットがどのような状態にあるのかをしっかり把握することが目的ですからね。

実際のところ、5点満点である必要はなく黄色の丸辺りにいれば大丈夫です。

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この黄色い丸の位置から上が転職市場においてアピールしやすいポジションなのです。既にこの位置にいるならば、マネジメント経験の実績を数字や具体例を使いしっかりアピールしてみましょう。

そしてここで覚えておいていただきたいことは、マネジメントスキル=チームマネジメント・ピープルマネジメントのスキルではないということ。プロジェクトを行うこと、自立して日常業務を遂行すること、人と連携しながら問題解決をしていくことも立派なマネジメントです。


専門性が低い場合

専門性が低いという方は、異なる職種を経験してきたこと自体が強みになることがあります。キャリアの一貫性とは何も同じ職種を長く経験していることではありません。異なる職種においても、1つのスキルを磨き強化してきたのならばそれは一貫性があると言えます。


また、過去のバックオフィス以外での経験がプラスに働くこともあります。例えば営業経験があるなら、営業目線で仕事ができることはバックオフィスにおいても十分アピールできる強みになります。バックオフィスは収益を生まないコストセンターと言う方もいますがそれは違います。バックオフィスだって間接的に、そして時には直接的に顧客満足度や売上に貢献しているのです。

営業経験があるということは、クライアントサービスの重要性を当たり前の様に理解しており売り上げを上げるために試行錯誤してきた経験があるはずですから、そのような経験・マインドセットを持っていることはバックオフィスでも役に立つのです。


マネジメントが低い場合
マネジメント経験はないけれど、1つの分野で専門性を身につけてきた職人タイプなら、その専門性を全面に打ち出してみてください。

そして、キャリアは掛け算ですから、プロジェクトや改善実績を積むことでマネジメントx専門性をアピールすることができます。スキルを掛け合わせていくことで更に強いポジションを得ることができるはずです。


今自分がどの位置にいるかが分かりましたか?
理想のキャリアがどのポジションに該当するか確認することで、今の自分とのギャップも見えてくるはずです。

ギャップがあればそれを埋めればいいだけです。

ポジショニングの意味を再度確認してください。

『自社のビジネスや特定ブランドを顧客のニーズに合わせる』

とあります。希望する仕事に自分をフィットさせるべく、必要なスキルや経験を今から積み重ね実績を作っていけば良いのです。


書類審査は実績が全て

社会人になり数年経ち、30歳前後になれば実績が伴っていることが必要です。

例えば、プロジェクトマネジメントであれば、どういう目的のプロジェクトでどのようにそれを達成しかた、それによってどんな効果があったのか?

管理職であれば、どれくらいのチームを持ったことがあるのか?チームの立ち上げをしたことがあるのか、どのようなチーム運営を行なったことでどのような結果を残したのか?

改善であれば、どのような課題がありそれをどのように解決したことでどこがどう改善されたのか?などです。

実績を数字で表すことは可能です。あなたがその分野において専門家であることを証明できるような実績をしっかり洗い出してみてください。


30代からのキャリア形成

あなたが30代40代で、転職を考えているなら是非黄色のエリアを目指してください。

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先にも述べたように、専門分野とマネジメントの掛け合わせは、特に転職市場においてはアピールしやすく、とてもわかりやすいポジションだからです。また、他の求職者とも差別化しやすくなります。

そして、2つのコアスキルにおいてどんどん多様性を深めていくのです。

某雑誌にキャリアにおいて40代は多様性を深める期間とありましたが、私は30代から多様性をどんどん深めていくことをお勧めしています。

例えば、
部署異動で別の業務を経験してみること               

日本だけではなく海外と関わる仕事をしてみる

日本人だけではなく外国人の部下を持つ

専門分野内で幅を広げてみる

専門分野外のことをやってみる

海外勤務

などです。

キャリアは掛け算です。多様性を深め、掛け合わせるものが増えることで他の候補者と差別化することができ、ユニークなポジションをつくることができます。

それでは、次にメンティーの転職成功事例をご紹介します。メンティー達がポジショニングをどう活用して転職に成功したのかをお話します。


ポジショニング診断:Aさんのケース 『大企業で英語を生かした仕事がしたい!小さな法律事務所から外資系企業へ転職』


【Aさんのプロフィール】

・39歳
・法律事務所勤務(従業員10名以下)
・パラリーガル
・転職経験なし
・転職活動期間:4ヶ月半

悩み:これまでの経験を生かして大企業で働いてみたいけれど自分の経験が通用するか不安がある

Aさんは大学を卒業以来、派遣社員を経て、パラリーガルとしてお仕事をされていました。大企業で英語を使って仕事をしてみたいという思いから、これまでの経験を生かしながら異業種へ転職するという選択をしました。

Aさんの様な職種から転職をされている方の多くは、別の法律事務所に転職するケースが多く異なる業界に転職する方は稀のようでした。エージェントからは20社応募して1〜2社書類審査が通るくらいに考えておくように言われました。

小規模な法律事務所での業務経験、事業会社での経験に乏しいとこともあり、転職市場においては決して有利ではない状況でした。
診断結果をもとにしたポジショニングはこの通り。

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専門性は高いものの、転職市場においてほかの候補者と差別化しにくい状況でした。マネジメント経験がなかったからです。

なければ、作ればいいのです!

日常業務に加え、上司から任されたマネジメント(部下を持つのではなく、事務所全体の運営に係るオフィスマネジメント)とプロジェクト(システム導入とデータ移行)を主体的にやることで、数ヶ月間マネジメントの実績作りにフォーカスしました。

マネジメントは他の方にお任せするというお話もあったようですが、Aさんは自ら上司に『私がやります!』と手を挙げたのです。

これらの仕事をこなし、リポジショニングした結果、専門性 x マネージメントを武器にアピールできるようになりました。それも、たった2〜3ヶ月でのことです。

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キャリアは掛け算ですから、いかに掛け合わせるものがあるのか?がキーです。

当初は英語での実務経験が限定的であるということから、日系企業ばかり応募していましたが、もっと外資系に応募するようにアドバイスしました。

外資系を目指す方にとって、英語力は大きな不安要素になっています。しかし外資系といっても英語をあまり使わないポジションからほぼ英語を使うポジションまで色々あります。英語での実務経験がないからという理由だけで、外資系を避ける必要は全くありません。

そして、英語ができるようになったら外資系にチャレンジする!ではいつまで経っても英語ができる日なんてきません!ここは、英語を使わざるを得ない状況に自ら飛び込むことで、英語のブラッシュアップ+キャリアアップすることが近道です。

Aさんは、専門知識 x マネージメントに加えて、以前から勉強していた英語を掛け合わせ、応募先にアピールできる職務経歴書を完成させました。

専門知識 x マネジメント x 英語

結果、「英語の案件を是非お任せしたい!」と面接でも好感触。

そして、現職で担当していた経理もやってほしいと言われ、

専門知識 x マネジメント x 英語 x 経理

4つのスキルを武器に、見事外資系金融機関に内定をいただきました。


ポジショニングをしっかり行い、書類審査の結果を見ながらターゲットを何回か変えながら、ターゲットの求める人材にフィットさせていったことが成功の要因の一つです。

転職活動をしながらも、実績作りを行い自分で考え行動する。企業にとってはまさに『欲しい人材』へと短期間で生まれ変わっていく姿に、頼もしささえ感じました。


実績がなければつくればいいのです。そしてそれをしっかりと職務経歴書に記載し面接でも自信を持ってアピールしていくことが必要です。

年齢が上がっていくにつれて転職が難しいと思う方がいますが、武器を獲得ししっかりポジションニングを行うことで、年齢は決してハンデとなることなく、逆に専門分野においてベテランであることを強みとし、即戦力として一緒に働きたいと思われる人材になることができるのです。

経験がものをいうポジションを探し出し、その募集要項にフィットした自分を作り上げていく、これがポジショニングです。

30代後半だから、マネージメント経験がないからと諦める前にポジショニングを明確にしてみましょう!


ポジショニング診断:Bさんのケース 『スキルも経験も学歴もないと自信がなかった状態から、2ヶ月で外資系企業に内定!』


【Bさんのプロフィール】

・34歳(2児の母)
・日系企業勤務 
・企画職(時短勤務)
・転職経験なし
・転職期間:2ヶ月


悩み:転職を考えているけれど、学歴もスキルも経験もなく自信がない。

ヒアリングセッションでBさんは自信なさげにこう言いました。周りの同世代のキャリア女性と比べて自分は学歴もスキルも経験もないと言います。特に専門性がないことをとても気にされていました。

事前ヒアリングをベースにしたポジショニングは下記の通りです。ないない尽くしです。

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けれどお話を聞いてみると、上司からの評価は良く、プロジェクトマネジメント経験もありました。

他の方が決して経験できない特別な仕事を任されたこともあります。お仕事の内容は公表できないのですが、これは彼女だからこそ任された仕事であって、コミュニケーション力・柔軟性・適応力があることを証明するには十分すぎるものでした。

徹底的にスキルの洗い出しを行い、リポジショニングした結果がこちら。

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専門性は確かに高くはないものの、プロジェクトマネジメントの経験が豊富で、部下を持った経験もありました。プロジェクト+チームマネジメントという2つのマネジメント経験を全面にアピールするために、実績を徹底的に洗い出し、職務経歴書と英文履歴書を完成させました。

そして掛け合わせるスキル・経験ですが、前述した特別な仕事と、海外勤務経験が大きな要素になりました。

プロジェクトマネジメント x コミュニケーション力 x 海外経験 x 英語

そして、Bさんの希望でもある、海外勤務・専門性を身につけるが叶うポジションに応募し、2ヶ月という短期間で未経験の業界・職種でオファーをもらうことができました。


今後は、部下を持ちマネージャーとしてのマネジメントx 専門性を高めながら、海外と関連のある仕事に就き、英語をブラッシュアップすることで理想のキャリア実現を目指します。旦那様の将来の転勤に備えて、海外でも活躍できる自分になりた!そんな目標を叶えるための第一歩を踏み出されました。


ポジショニング診断:Cさんのケース 『「事務職」の枠にとらわれない転職。年収アップを獲得したワーママの挑戦』


【Cさんのプロフィール】

・37歳(1児の母)
・日系企業 
・貿易事務・営業アシスタント
・転職経験3度あり
・転職期間:3ヶ月

悩み:事務職からキャリアシフトしたい


ヒアリングセッションで、「自分のやってきた仕事は果たして貿易事務という言葉で収まる程度の仕事なのだろうか?という疑問が常にあると」と話してくれました。確かにお話を聞くと、事務以外のこともたくさん経験されていました。

ところが、ある就職相談に出向いた際、「事務職」の一言で片付けられたことで強烈な違和感を感じたと言います。

ご自身では事務職以外のこともやってきたという想いがありながらも、それらをどう言語化して良いか分からず職務経歴書の職務要約には「貿易事務を10年経験」と書いていました。事務職としてアピールしているのですから、当然事務職以外のポジションを紹介されることはありませんでした。


サポートを開始する前のポジショニングは下記の通り。

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貿易事務の経験は豊富なものの、マネジメント0の状態では、他の候補者に埋もれてしまいます。

けれど、Cさんはこれまで数々のプロジェクトを牽引してきた経験がありました。改善実績はもちろん、売上に貢献するような実績もあったのです。実績を洗い出しリポジショニングした結果がこちら。

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マネジメント数値は3になり、専門性は5へ。貿易事務の経験が10年以上あり実績も申し分なかったため専門性・経験は満点となりました。

けれど、今回の転職では貿易事務から別の職種にシフトしたいという希望がありましたから、貿易事務の専門性や経験をアピールしていては不十分です。この場合、10年に渡る貿易事務経験を通してどのようなスキルを培ってきたかを洗い出す必要があります。

Cさんは、たくさんのプロジェクトマネジメントの経験がありました。社内初の事業にも携わってきた経験からゼロからフローを確立しながらプロジェクトを進めることもできます。
また、輸出入の実務経験を通して、全体を見通しながら工程管理を徹底し納期を守ること・改善することも当たり前のように身に付いていました。英語力も申し分ありません。

これら専門性・経験を通して培ってきたスキル、

プロジェクトマネジメント x  改善 x 英語

を軸に、顧客満足度向上や売上に直接的にも間接的にも貢献してきたこともアピールしていくことで、貿易事務以上のことをしてきたことを伝える職務経歴書に修正しました。


また、当初は外資系に転職することを想定していないようでしたが、英語実務経験を活かすため日系企業だけでなく外資系も選択肢に入れて転職活動を進めるようアドバイスしたのです。英語での実績は申し分ない程ありましたからね。


結果、3ヶ月後外資系企業から内定を頂き、カスタマーサービスとして転職することになりました。Cさんからの感想はこちらをご覧ください。


スキルの転換

職種を変えたい場合には、今ある経験・スキルをいかに希望職種に活かせることができるかを考え言語化することが大事です。スキルの転換と呼んでいます。


バックオフィスで働くならば、改善・プロジェクト・チームマネジメント経験が実績となります。

最初に説明したピラミッドを思い出してください。ピラミッドの4・5・6・7です。

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改善はどのような業界のバックオフィスでも必要なことです。ですから、職種を変える転職を希望する方も同職種で転職したい方も改善実績を徹底的に洗い出してみてください。そしてない場合は、今日から作ってみましょう。実績の作り方についてはこちらをご覧ください)

改善の種を自ら探し、今あるプロセス・環境・システム等をより良いものへとする、このマインドセットこそが評価の対象となるのです。


終わりに

自分には経験もスキルもない!と言っている方も、実は何かしら経験やスキルがあるものです。キャリアポジショニングという考え方は、今あるものを可視化・言語化することが目的です。

まずは下記の質問に回答することで、マネジメントと専門性・経験を数値化してみてください。

①あなたのマネジメント力は何点ですか?(  点)
・1年以上の管理職経験がある
・3年以上の管理職経験がある
・プロジェクトの規模関係なくプロジェクトリーダーとして仕事をした経験がある
・日常業務を上司からの指示を受けず自主的に進めることができる
・問題や改善事項は放っておけず率先して行う

②あなたの専門性・経験は何点ですか?:(  点)
・特定の専門分野・職種において3年以上の経験がある
・特定の専門分野・職種において5年以上の経験がある
・特定の専門分野・職種において10年以上の経験がある
・特定の専門分野・職種において実績が3つ以上ある
・特定の専門分野・職種において実績が6つ以上ある



人はないと思っていると、あることに気付くことができません。それでは、職務経歴書で自分の強みをアピールすることはもちろん、面接でも自信を持ってアピールすることは難しいのです。

この診断を通して「自分にはマネジメントや専門性・経験がある」ことに気付いていただけたら幸いです。そして、マネジメントや専門性・経験があることを前提に職務経歴書を書いてみてください。きっと今とは違う職務経歴書になるはずです。


もし本当に経験もスキルも何もない!という場合には何度も言いますが、今日から作れば良いだけです。


スキルを棚卸してポジショニングすること、これは転職サポートで私がこれまで行ってきたことです。見せ方を変えるだけで、書類通過率がグンと上がった、スキルを言語化したことで面接で自信を持ってアピールできた、という感想を多くいただきます。

転職活動中の方、これから転職をしようとする方、キャリアをつくっていきたい方は、この診断結果をもとに自分という商品の打ち出し方を考えてみてください。このnoteが転職をご希望する方、これからキャリアをしっかり築いていきたい方にとって、自分自身の価値を知り、今後のキャリア形成において自分をどう打ち出していくかを決定する機会となれば幸いです。


この記事は2018年に最初に書いたものを今回大幅に修正・加筆したものです。感想やコメント大歓迎です!Twitterからメッセージをください。

また、ひとりではキャリアの棚卸しもポジショニングも難しいという場合には私達メンターに頼ってくださいね。




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