パーフェクト・デイズ

年始休みに映画館で映画鑑賞第2弾は「パーフェクト・デイズ」

ドイツ人監督、ヴィム・ヴェンダースが日本を舞台に、日本の俳優たちを起用して撮影された(日本)映画

冒頭からヴィムが敬愛する小津安二郎的カットがいくつもあってニヤニヤしてしまう

ささいな日常に喜びを見出せることができれば、主人公の平山(役所広司)のように生きていける・・・そんな印象の映画だった

毎日同じルーティーンで過ごせることはこれ以上ないパーフェクトな幸せ
毎日同じように思えても、毎日少し違っている
自分以外とは繋がりがないようでも、実はつながっている
それらに気づけるかどうかの差って、人生においてすごく大きいように思える

いつも同じ電車の同じ車両、同じくらいの時刻に居合わせる人たち
言葉を交わしたこともなければ、もちろん知人でも何でもない
だけどその人たちをたまに見かけないことがあると、少し心がざわつく
自分も、自分以外も、生活の一部になっていることに気づかされる

この映画は昔の名曲が使われていて、選曲も抜群
トイレ清掃員である平山が清掃する都内のトイレの建築も面白い
音楽好き、建築好きにも満足度が高そうな映画だろう

弟子のジム・ジャームッシュが「パターソン」というこれまた最高な日常映画の傑作を何年か前に発表している

彼の師匠であるヴィム・ヴェンダースもさすがの手腕
残念なポイントとしては、こんな素敵な日常の日本映画を今の日本人監督が撮れないことだ

是枝監督あたりなら撮れそうだけれど、今の日本人監督に撮ろうとする人がいないのか、撮りたくても日本の映画産業自体のふところが小さくなっているせいなのか、いろいろ大人の事情はありそうだが、実に哀しいなあと思ってしまった

ラストシーンの平山の表情、BGMとして流れるニーナ・シモンの音楽には涙してしまった

パーフェクト・デイズとは、今ある日常のことだよ。

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