“目にするものだけを信じるんだ!”_ “The Crimson Pirate”(1952)
70年前の映画「真紅の盗賊」、デップーの「パイレーツ・オブ・カリビアン」ロスの人は必見だ。ディズニーっぽくエンタメしているぞ!レニー・「爆破王」ハーリン監督の「カットスロート・アイランド」より、よっぽど陽性に。
なにせ本作、元サーカス団員、空中ぶらんこで鳴らしたバート・ランカスターが、海賊船のトップマストから、ターザンロープの要領でスタッと僕らの目の前に降りるや否や、ムキムキの上半身に、にかっと白歯をきらめかせて
「目にするものだけを信じなさい!いや、目にするものの半分を信じなさい!」と、ヴィスコンティ作品あるあるの気むつかしい表情はどこへやら、屈託ない笑顔で言い放つのだ。 当然、子供たちは、お兄さんにメロメロ!
そしてこの海賊船の船長、というよりは体操のお兄さんは、ロープをよじ登ったり、ターザンジャンプであっちこっち飛び回ったり、海上にダイブしたり、街中を走り回ったり、トランポリンしたり、バク宙したり、大車輪をしたり、仲間たちを糾合したり、全く似合わない女装をしたり、クライマックスはヒロイン救出のため決死のトップマストよじ登りを敢行したり、吹き替え(つまりダブル・スタント)なしの大活躍。
もちろん令嬢とのロマンス、キスシーンもあるよ。 お母様方もメロメロ。
船長ヴァロと並走して、映画を盛り上げてくれるのがニック・クラヴァット演じる相棒オージョ。
身長の低いオージョと高いヴァロは、
という劇中の台詞にあるように「一人はまったく喋らないし、一人は喋りすぎる」という面白いコンビ。
(身振り手振りはあるけれど)ぴったり息が合って、もはや相棒の域を越えた女房役。
どれくらいオージョの存在感が強いかといえば、ラスト、ヴァロとヒロインのキスシーン、その手前に現れて、遮って、邪魔してくれやがります。
テクニカラーで撮られた嘘のような青い海が映えて、実寸大の海に浮かべた嘘のような海賊船も映えて、最後まで突っ切るエンターテイメント。この週末に、ぜひ。
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