たった三人の害虫駆除。将棋の様に詰めろ。Into the Breach
明鏡止水に目覚めたククルスドアンにクーロンガンダム、珍しい機体ばかりが使える、でもキャラ絵は下手くそばかりなGジェネADVANCEに、ニュータイプに目覚めたカイシデン操るνガンダムにGジェネDSスパロボ…
その他、フロントミッションといいといい、ロボットSLRPGというものは、多種多彩な機体を同時に十数体使えることをウリにしている。
アメリカのインディーゲームスタジオSubset Gamesが2018年に開発・発売した Into the Breachはその逆のアプローチ。全く意思の通じない昆虫型エイリアンと地球防衛軍との宇宙戦争を描いたSF映画…もといターン制ストラテジーだ。
たった3機を操り、気分は多勢に無勢のスターシップトゥルーパーズ?
たった3機で迎え撃つはウォリアーバグと呼ばれるカマキリを連想させる異生物や、ホッパーバグというバッタを連想さぜる異生物。本作における異性の生物が人間を恐れることはなく、どんどん進軍してくる。つぶしてもつぶしても次から次に湧いてくる。
ステージ開始時に自機の配置を決められる。近接攻撃特化、遠近両用、間接オンリー。自機の特長に合わせて、どれを盾役にするか、アイテム拾い役にするか、決めるのだ。
たった3機のディスアドバンテージに対し、本ゲームならではのアドバンテージも存在する。敵の次の行動を予測できるのだ。次に何を攻撃するか、どこに増援が発生するか。自ターン毎に一回だけはやり直しが効く機能と合わせて、詰め将棋の様に戦略を練るのだ。
将棋でいう桂馬や銀将の駒の様に、自軍の攻撃にもクセがある。敵をノックバックさせる砲撃に、敵を凍らせる冷凍銃に、距離に比例して威力が下がる散弾銃。武装の緻密な使い分けも又、キモといえるだろう。
とりあえずパイロットを育てないことには何も始まらない。スパロボ であれば、ヘルメット被っているのは軟弱な一般兵と、島田兵の例を挙げるまでもなく相場が決まっているが、本作においては貴重な戦力。どんどん育てていこう。
とはいえ、各パイロットのいのちは一つ限り。粘りすぎて死なせては取り返しがつかない、要注意。
なんてこった。敵の数に押し負けちまった。ゲームオーバーだ。
ご安心あれ。次のタイムラインに、育てたパイロットのうち一人をワープさせるのだ。強くてニューゲームを連ねて、時代は螺旋の階段を描く。さよならが、つながっていく。
死んだ仲間は帰ってこないのは、FEと同じ。ガオガイガーやコンバトラーの様な超技術なぞ高望み。これが、戦争の現実。
本作の場合、あなたは死んでも変わりはいるもの…と綾波よろしく、パイロットがAIユニットに置き換わるのが、虚しい。
アイランドは四種類。
見た目や振る舞いはともかく、依頼されることは至極まとも。害虫駆除。ミッション達成へ邁進しよう。
だいたい上記キャプチャを見ればわかると思うが、本作において熟練度を得られるプラスアルファのミッション大半は敵の全滅ではなく、インフラや拠点、市民の防衛に偏っている。「撃滅戦争」、相手の完全な打倒を目指すいくさより、守る方が難しいのは自明の理だ。
とはいえ、最終ミッションはインデペンデンスデイですね、わかります。
たとえ無事にクリアしたとして、彼らの戦いに終わりはない。世界に無数のタイムラインがある限り、戦ひは永遠に繰り返される…
結論。本作はいわば桂馬、香車、歩兵を各一駒ずつ与えられた詰将棋の様なもの。桂馬がバックできず歩で取られることが多いように、角が強力だがまっすぐには進めないように、それぞれ強みをもちながらも弱点がはっきりしている駒をどう振るか回すか、経験が浅いとうまく使いこなせないが、攻撃の主軸に据えることができれば、このゲームに強くなれる。士官としての腕の見せどころ。プレイ上達が体感できる、歯応えあるシミュレーションゲームだ。
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