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“カネか。いくらあっても足りない気のする「ゴミ」そのものさ。”_”Detour”(1945)

まずはこの男の、憑かれた顔を見てほしい。 
1945
年のフィルム・ノワール「恐怖のまわり道」の主演を演じたトム・ニールの顔。女優をめぐって同僚を大怪我させたり、妻を射殺したり、フィルムノワールを体現するスキャンダルまみれの人生を起こした男の貌。ナヨナヨしい眉毛、しょぼくれた感じ、もちろん演技やメイクもあるのだろうけが、人生に疲れ果てた感、B級的侘びしさをかもし出している。

68分のテンポ良い短編というのも良い:気だるく疲れた悪の世界が、流れて通り過ぎていく。

「B級カルト映画の帝王」エドガー・G・ウルマー。
撮影期間6日間で撮られたといわれる低予算映画ながら、異色フィルム・ノワールとして世界中でカルト的人気を誇る大傑作。本邦初ソフト化!!
監督: エドガー・G・ウルマー
脚本: マーティン・ゴールドスミス
撮影: ベンジャミン・H・クライン
音楽: アードディ
出演: トム・ニール、アン・サヴェージ、クラウディア・ドレイク、エドモンド・マクドナルド、ティム・ライアン、エスター・ハワード、パット・グリーソン
製作年: 1945
製作国: アメリカ
上映時間: 68(予定)分
映像色: モノクロ

IVC公式サイトから引用

話は簡単。男は女の欲望に拮抗することができず 、言われるがまま金を奪い、その金を巡って女と交渉決裂。にっちもさっちも行かないところへ追い込まれてしまう。男の顔から余裕というものが消えていく。
女は部屋に閉じこもり、男の容疑を通報しようと立て篭もる。電話をかけさせまいと、男は部屋の外から電話線をちぎろうと引っ張る:声が消える。
女は部屋の中で受話器のコードに首を絞められ、息絶えている。
そんなバカな。物的証拠が多すぎて隠滅もできない。
絶望した男は、とぼとぼ夜道を歩いて夜のガソリンスタンド、冒頭のやさぐれた顔になってたどり着く。

そんな男の漏らすため息の一つが、これだ。

Al Roberts: Money. You know what that is, the stuff you never have enough of. Little green things with George Washington's picture that men slave for, commit crimes for, die for. 
It's the stuff that has caused more trouble in the world than anything else we ever invented, simply because there's too little of it.
https://www.imdb.com/title/tt0037638/quotes/?ref_=tt_trv_qu

You can never have enough money. More is better.(お金はいくらあっても十分じゃないよ。多ければ多いほどいいよ。)の常套句に引っ掛けた、皮肉めいたため息。


騙された馬鹿な男のため息が、画面越しに伝わる一作。身につまされることだろう。

サムネイル画像は
https://www.criterion.com/films/29614-detour
から引用


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