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トライアンドエラーを気軽に行って、風になろうよ「ラーヤの空」。

1914年、静岡県浜松市。当時8歳だったホンダの創業者、本田宗一郎は、米飛行士が操縦するカーチス製の複葉機を見た。それが宗一郎と飛行機との出合いだった。飛行機を見たいがために、父親の自転車を借りて20キロ以上離れた練兵場に出かけるほど、その魅力に取りつかれた。
この逸話を挙げるまでもなく、またはスティーブン・スピルバーグや宮崎駿が自身の映画作りに込めるメッセージを挙げるまでもなく、己の身ひとつで飛ぶことは、まさしく、ひとの夢だ。

パイロットウィングスに始まり今なお一定の人気を誇るフライトシミュレーター。風に乗って気軽に己の身一つで飛ぶことのできる「ラヤの空」も、紛れもなくその系譜だ。
主人公は所謂ウイングスーツを身にまとって、気球の上から、高台から、斜面にへばりつくようにして連なる村を眼下に滑空する。

ただ漫然と遊んでいればそれなりに飛べる、なんてこともなく。風はどちらに向いているのか。現在位置の高度や速度はどの程度か。旋回、急加速、上昇、降下、いまここで何を行うべきか。考えることは意外に多い。
意外と難易度が高い本作において、くじけることなく何度も挑戦できるのは、失敗してもゲームオーバーと突き放すことのない、トライアンドエラーを推奨するゲームデザインにあるだろう。
チュートリアルは丁寧で、操作方法はいつでも振り返ることが出来、1回あたりの滑空時間は数分程度、着地後にはすぐリトライ画面へと切り替わる。
集中力が増し、短時間で最高のパフォーマンスを発揮することができる環境が整えられている。

村の人たちが、主人公が空を飛ぶことを暖かく後押ししてくれる世界観なのもよい。

トライアンドエラーが推奨されるから、決まっていつものルートを選択するだけではなく、新しいルートを開拓し今まで見たことのない景色を目撃したり、ちょっと無茶と思えるスピードで滑空をしたりすることが出来る。

思い通りに飛べるようになれば、次はより難易度の高いミッションに乗り出そう。速さを競ったり、滞空時間を競ったり、だ。
トライアンドエラーが許されるゲームデザインだから、自ら設定したミッションに向かって前向きに努力することができる。…いつしか自分の思い通りに空を飛ぶことが出来るようになる。

徐々に種類が増えてくるケープ&チャームでオシャレしてみるのも、また、一つの楽しみ方と言えるだろう。

スマホでは難しい絶妙な操作に応えて、アナログコントローラーに対応しているのも、うれしいところ。
さあ、気軽に空へと飛び立とう。


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