マガジンのカバー画像

映画の名セリフ、、引いてみた。

80
甘い言葉がある。辛い言葉がある。英語だとわかるニュアンス、日本語の方が腑に落ちやすいフレーズもある。 そんな映画の英語の名セリフを、拙訳と共に引いてみる。 目標は和田誠の「お楽し…
運営しているクリエイター

#フィルムノワール

“誰も脱出できたものはいない。本当に、いない。” Brute Force(1949)

ウェストゲイト刑務所からの集団脱嶽を計画する囚人たちを描いたジュールス・ダッシン監督 映画「真昼の暴動」より。 ここはウェストゲイト刑務所。 長いあいだ独房に入れられていた本作主人公:ジョー・コリンズ(演:バート・ランカスター)が、久しぶりに元の獄房R17号に戻ってくる。 ジョーには、純情な病身の娘ルースという恋人がいる。 その彼女はジョーが入獄していることも知らずに待っている。ルースに会うこと、ジョーにはそれがたった一つの娑婆への未練なのだ。 R17の独房内の囚人にとっ

“カネか。いくらあっても足りない気のする「ゴミ」そのものさ。”_”Detour”(1945)

まずはこの男の、憑かれた顔を見てほしい。  1945年のフィルム・ノワール「恐怖のまわり道」の主演を演じたトム・ニールの顔。女優をめぐって同僚を大怪我させたり、妻を射殺したり、フィルムノワールを体現するスキャンダルまみれの人生を起こした男の貌。ナヨナヨしい眉毛、しょぼくれた感じ、もちろん演技やメイクもあるのだろうけが、人生に疲れ果てた感、B級的侘びしさをかもし出している。 68分のテンポ良い短編というのも良い:気だるく疲れた悪の世界が、流れて通り過ぎていく。 話は簡単。男