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映画の名セリフ、、引いてみた。

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甘い言葉がある。辛い言葉がある。英語だとわかるニュアンス、日本語の方が腑に落ちやすいフレーズもある。 そんな映画の英語の名セリフを、拙訳と共に引いてみる。 目標は和田誠の「お楽し…
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#イギリス映画

「チャーチルはそこの椅子に座っていました。優しい人でした。」_"Queen"(2006)

ダイアナ事故死から十年も経たず、登場人物の大半が存命という状態で製作された生々しい2006年のイギリス映画「クイーン」より。 といっても、スキャンダラスな内容ではなく、あくまで、実在人物そっくりの俳優たちが、その内幕を再現する静かなドラマとして演出されている。 1997年、労働党の若き党首トニー=ブレアがイギリス新首相に決まり、エリザベス女王は世代ギャップを感じながら彼を首相に任命する。その直後に元太子妃ダイアナがパリで事故死し、ブレア首相は彼女を「国民のプリンセス」と表現

「カトリックが絶滅するまで、アイルランドに平和はない!」_"CROMWELL"(1970)

オリバー・クロムウェルは17世紀のイギリスの政治家および軍人で、イングランド共和国の指導者。その名声は、19世紀、かのゲーテと友誼を結んだ歴史学者ロバート・カーライルの伝記によって世界中に知られ、日本でも内村鑑三が、聖書と並んで自身の影響を受けた書籍として挙げていて、じじつ内村自身が と熱弁ふるって讃えた、議会制民主主義の発展に寄与した人物、表向き清廉潔白の英雄。 他方で、権力を握った後は、反対派や煩い連中を容赦なく弾圧する独裁者へと変貌。グローブ座ほか多くの劇場を閉鎖に追

「猫が好きだ。そしてネコが嫌いな人間が大嫌いだ。」_"North Sea Hijack"(1981)

以上の逸話、本当だったかはともかくとして、みごとに三代目ボンドを演じて見せたロジャー・ムーア。 フラレてもフラレてもめげずに、粘りで女をゲットする男。取りあえず一発試せるかどうか?まずは単刀直入に切り込む男。断られても怒らない男。そして何より、女のピンチには必ずそばにいるダンディな男(期待通り向こうから飛び込んできてくれる男…)近づいてくる女性は敵だろうが味方だろうが、まずは信じる、優しさに溢れた男…。 女たらしでユーモラスなスパイ=ジェームズ・ボンドという前時代のイメージは

「まさか…お父さんが我が子の前でハダカになって踊るというのかい?」「天に誓って、そうだよ。」_『The Full Monty』(1997)

メジャーどころの映画であれば「イエスタデイ」のジョン・レノン役、または「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」の敵テロリスト役で見る者に強い印象を残した男優ロバート・カーライルは1961年4月14日、スコットランドのグラスゴー生まれ。 グラスゴーの演劇青年だった彼は、ケン・ローチ監督の『リフ・ラフ』で建築作業現場ではたらくナイーブな好青年、スティーヴを演じて注目された。以来、90年代を通じ、職人肌の監督たち(アントニア・バード、マイケル・ウィンターボトム、ダニー・ボイル)の

“映画、それは退屈に満ちた人生を切り離すものさ!”_“Their Finest”(2016)

クリストファー・ノーラン監督「ダンケルク」のB面。戦火の中で、誰もが夢を見たがっていた…。「人生はシネマティック!」とは、当たっているようで、当たっていないような、邦題。 第二次世界大戦では、映画というメディアが、プロバガンダに利用される成熟期を迎えた。ナチス・ドイツでいえば…の故事を引くまでもないね。 本作は、 プロバガンダ? だからどうした、楽しけりゃそれでいいだろ!の精神で突っ切るのだ。じつに潔い。 第二次世界大戦下のイギリス映画は,ドキュメンタリー映画,商業映画