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車いすからベッドへの旅

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毎日、天井を見つめている。ベッドで横になっていると、ぼくの六畳の部屋半分と、ヘルパーさんが仮眠する隣の四畳半三分の一ほどしか視界には入らない。 かぎりなく狭い世界の中で、なにを考…
運営しているクリエイター

#ヘルパーさんへのメッセージ

本心

 この間、片づけてあるはずの場所に「流せるおしりふき」が見当たらなかった。 急を要する状…

ぼくの日常

 サポーター(ヘルパー)のAさんは、ごはんを冷凍するときにラップでくるんだほうがいいとい…

背景

 最近になって、いよいよ気持ちの浮き沈みが激しくなり、日常の会話の行き違い(マスク越しな…

日記

 午後三時、ひとりの時間を過ごせるように、気兼ねなく読書ができるように、ネット環境の課題…

わたしとあなたとわたしたち

 「どんなふうに介護されると、ラクなんですか?」  ぼくは当事者という看板を背負わされて…

ボケたぼくへの贈りもの

 ぼくがまだ家族といっしょに暮らしていたころ(八歳まで)、おふくろに対して「どんな頭の構…

タマゴで産む

 朝一番から、わが家はマスク越しの大爆笑がひろがった。  今日の起きる準備のヘルパーさんと、家事ヘルパーさんのコンビは、元高校球児と居酒屋風料理の得意な二人だった。    朝食をすませると、グッドタイミングで居酒屋ヘルパーさんがチャイムを鳴らしてやってきた。  グッドタイミングというのは、このご時世だから食事中にベラベラとしゃべることは控えたいところ。 歯磨きも完了して「ピンポ~ン」と聞こえたので、すぐに夕食の献立の打ち合わせと買いものの確認ができるというわけだ。    元高

マイスタイル

 朝から青空だったので、ツーカーの仲の青年ヘルパーのMくんと夕ごはんの一品を買い出しに、…

介護という「仕事」に寄り添う哲学

  ある失敗  ぼくには尊敬する友人が三人いる。  中でも、京都の施設にお世話になっていた…

スイスイ

 普段、ストローとして使っているビニールチューブを買い替えた。 暑い時期には欠かせないカ…

月が見ているよ

 「背中がだるいし、寝返りさせてくれるか」  「ノドが渇いたし、お茶飲ませてくれへんか」 …

二○二一年 六月二四日

 午前七時十五分。 本格的に目を覚ます。いつものように、ラジコで「おはようパーソナリティ…

ぼくと佐藤くん

 今シーズンの阪神タイガースは、三十年以上もプロ野球から遠ざかっていたぼくの耳をラジコへ…

支えあう②

 「車いすからベッドへの旅50」で登場したヘルパーAくんの話をふたたび。  Aくんはサポートに入っていた同世代の筋ジストロフィーの青年の死を通して、介護という仕事への向きあいかたが大きく変わったという。  お風呂の介助が多くて、湯上りにはコンビを組んだヘルパーさんと三人でゲームの話などに楽しい時間を過ごしていた。  同世代ということもあって、青年の明るい性格にも惹かれ、すこしでも彼の毎日の生活を充実させるために、力になりたいと思うようになっていく。  ひとり暮らしを視