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車いすからベッドへの旅

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毎日、天井を見つめている。ベッドで横になっていると、ぼくの六畳の部屋半分と、ヘルパーさんが仮眠する隣の四畳半三分の一ほどしか視界には入らない。 かぎりなく狭い世界の中で、なにを考…
運営しているクリエイター

#電動車いす

春を待つ手紙

 政治に携わる人の演説を聴いて、投票したい気持ちに駆られたことがあまりない。 思想をこえ…

時間の奥行き

 何日ぶりだろうか。 毎日のように投稿をつづけていたのに、サポーター(ヘルパー)さんに入…

ことば

 最高の一日だった。  自分を確かめられた一日だった。  考えさせられる一日でもあった。 …

間(ま)

 ぼくの中で親友と呼べる三人のうちのひとり「中村ブー」が、妙にしみじみと言ったことがある…

投げかける

 あの日、ぼくは扇町公園での集会に参加していた。 山にかこまれた施設で、生涯を過ごすつも…

ホワイトボード

 この一週間、ホワイトボードの購入品の欄にずっと消されないものがあった。  それは「だし…

本心

 この間、片づけてあるはずの場所に「流せるおしりふき」が見当たらなかった。 急を要する状況ではなかったので、範囲をひろげて探すとすぐに見つかった。  また別の日、衣装ケースからタオルを出すと、半乾きのままで片づけられていた。  ぼくは、理詰めに間違いなく物事を進めるのが苦手というか、その段取りや手順に力を使い果たして、効果が現れるまでに疲れてしまう。 「流せるおしりふき」のときでも、大した労力を使う必要はなかった。  それぞれの衣装ケースや棚の引き出しに付箋を貼っていれば、

その人

 二車線ある幅広い道路の信号のないところを渡りきって、住宅街のシャレた喫茶店がもうすぐ見…

一人ひとり

 昨日、すぐご近所の八百屋へ出かけた。 予定では市場へ寄って、作業所へも顔を出すつもりだ…

 きっと、むかしのように一日でも二日でも電動車いすに座りつづけられたら、帰りのバッテリー…

愛着

 ここのところの日課になっている二時間ほどの外出から帰って、着替え(介護用語では「衣服の…

てるてるぼうず

 太陽の位置を確かめながら、電動車いすのバッテリーの残量を示すランプにときどき目をやりな…

苦手と嫌い

 その夜、ぼくは慣れない道を電動車いすで歩いていた。  歩道は広かったけれど、横傾斜の具…

副産物

 ほんの三分ほど前、noteへ投稿する小ネタと出遭った。 それでは、忘れないうちに。  今夜の泊まりは、ぼくの心と体を知り尽くしているMくんだ。 ぼくの確認用のタブレットとサポーター(お昼と夜をシフトする事業所ではヘルパーではなく、サポーターと総称しているし、介護ではなくサポートというハイカラな言葉を使っている)が入力するパソコンとの接続をはじめ、執筆のためのセッティングをしていたときだった。    できるだけ硬直が起こらないように、体勢を安定させるために膝のウラにクッショ