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車いすからベッドへの旅

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毎日、天井を見つめている。ベッドで横になっていると、ぼくの六畳の部屋半分と、ヘルパーさんが仮眠する隣の四畳半三分の一ほどしか視界には入らない。 かぎりなく狭い世界の中で、なにを考…
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2021年7月の記事一覧

ほっこりする話

 週一回のリハビリの先生の来る日だった。  二~三日前に左ふくらはぎの内側をダニに刺され…

今朝の風景から②

 定刻をすこし遅れて、訪問入浴の人たちがやってきた。 いつものようににぎやかに。  今朝は…

今朝の風景から①

 木曜日、訪問入浴をお願いしている朝だ。  約束は十時到着で、朝の家事ヘルパーさんとお昼…

「かたくなさ」について

 結局、彼とは心を開く関係にはなれなかった。  ぼくがまだ施設で暮らしていたころ、専門学…

月が見ているよ

 「背中がだるいし、寝返りさせてくれるか」  「ノドが渇いたし、お茶飲ませてくれへんか」 …

再現できない今日を淡々と

 午前中、大事なメールを友人に送った。  午後からのオンライン会議にむけて、急いで昼食を…

身構える

 介護される側などとひとまとめにされると、繊細すぎる話かもしれない。 たいがい、介護を受ける場面では第三者に身体のどこかの部分を触れられる。  ひょっとしたら、太極拳の使い手であれば離れたところから介助する術を編み出すことができるのだろうか。  けれど、そんな神技を駆使できない凡人にとっては、体に触れなければ何もはじまらない。  おとといの夜から今朝にかけて、すこしだけ気を使う介護者がつづいた。  コーディネーターさんに訴えるほどでもなく、日常茶飯事程度の範囲だったので、そ

またまたヒットしました。ゾロ目です。

 一見、最悪な一日だった。  日曜深夜~月曜明け方のNHKラジオ「ラジオ深夜便」の午前一時台…

永井くんとワクチン接種の一日

 午前十時、「おはようございま~す💗」とこれから仕事とは思えないほどの間延びした声で、永…

最後のホームルームとゆんたく

 卒業式前日のホームルームだっただろうか。  一人ひとりへむけての寄せ書きをまわしながら…

「らしいなぁ」

 最近、投稿ページの先頭にあげている写真は、それなりのインパクトを持っているのだろうか。…

これはブラックジョークですか?でも、ほんとうに起きたこと

 午後、あまりに蒸し暑かったので、エアコンをキツメに設定したら、咳きこみがひどくなってし…

面倒くさがりのヘソまがり

 昨日、家事ヘルパーさんにつくってもらった「アジの南蛮漬け」がすこぶる旨くて、その感動を…

「ない、ない」づくし

 夏だというのに、「食欲がない」。  ナスビ、トウガン、シシトウ、モモ、パイナップル、イチジク、ハモ、スズキ、イワガキ、単に食材だけでも挙げだすとキリがないほど、ぼくは暑くなると旬をむかえるものに大好物がひしめき合っていた。  おまけに、七月生まれが関係しているのか、どんどん髪が薄くなり、熱中症を気遣う年齢になっても、風通しの悪い電動車いすでどこまでも歩きつづける体力をもっていた。  もう一度、食の話にもどると、素材だけでも数えきれないのに、それぞれにさまざまなメニューのレ