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やめてみた。9.夢の中に居ること

夢の中にいるうちは本来の自分に出会うことはない。
自分が見ているこの世界は全て思い込みといえば思い込み。
以前はみんな同じ景色を見ていると思っていた。
同じ景色を見て、人それぞれの感じ方があるのだと思っていた。
しかし、今は同じ景色は誰も見ていない、みんな違って見えていると感じる。

「全然本気出して生きていない」と何回か言われたことがあった。
それが何のことか、どうすれば本気といえるのか、仕事は全力で頑張っていたつもりだけれど。この意味がなんとなくわかるようで、わからなかった。
つまり、本気を出さなくても頑張れるが、本気を出したら別に頑張らなくてすむのだ。
「本気を出していない」の意味が今は「本来の自分を発揮していない」
との意味だったとわかる。

私のいままで経験して培った価値観の中で判断をし、日々を過ごしていた。
それで良いと思っていた。
しかし、それは本当に小さな世界であって、それ以外の可能性は全てスルーしてしまう。
しかもその価値観や判断は事実ですか?と問いかけられたら、事実ではない。つまり解釈。思い込み。これを本気を出していないと見られていたのだろう。

私が呪縛のように思い込んでいたベスト1はいまのところこれ。
私は「どうせ一番に愛されない」という小さい頃からの思い込み。
思い込みとはわかっちゃいるが、しつこく解けなかった。
私は3人兄弟の長女で、父は妹を愛し、母は弟を溺愛し、私はその次。と思っていた。
それは結婚や恋愛にも反映されていた。私は一番に愛されている、という確信をパートナーに求めた。ここでは一番に愛されるだろうと。
こんな歪んだ思い込みだから当然うまくいかない。
何かあると「やっぱり私は一番に愛されない」との思い込みは強化される。
こうして何十年も事実の見えない夢の中で暮らしていた。
一番に愛されたいと思っているはずなのに、やっぱり私は一番に愛されないといった事象が次々と起こる。
それは、「思い込みですよー。いい加減夢から覚めましょう」というサイン。私はそのサインに気づかず、「私はやっぱり愛されない」が更に増していった。

では、どうやってその沼のような呪縛から目覚めたか。
それは様々な出来事が連動し、いくつかあったと思う。
① 母の愛情を五感で思い出した。
幼稚園の時の匂いを鮮明に思い出した。それは、冬場ストーブの上で温められたアルミのお弁当箱。その蓋を開けた瞬間のお弁当の匂い。
それと、毎朝母が私の髪をクシでとかし、結んでくれたときの感覚。それが一気に蘇った。
とても愛されていたことを思い出した。
〇〇してくれない、といつも思っていたのが、してくれていたことをたくさん思い出した。
その瞬間、母への愛情が溢れたのと同時に、申し訳なさも溢れ、電車の中で泣いた。
私は父に愛されたいと思っているとばかり思い込んでいたけれど、父から愛されていたことは分かっていた。どうやら母から愛されたいと思っていたことがわかった。
両親に全て話し、今までの自分の態度を謝った。
母は「下の二人がそう言うならまだしも、あなたには一番愛情をかけた。でもあなたには必要なことだったのでしょうね。私が生きているうちに愛情が伝わってくれてよかった。」と言ってくれた。
夢というより、もうほんとうに呪縛だった。それが解けた。
② 異質な他者の出現
発達段階が上がるときには異質な他者が必要とされる。信じていた価値観を壊すことになるから。同じ価値観では同調し殻を破り切れない。
以前、ある人とお付き合いをした。その人はすでに彼女のいる人だった。
やっぱり私だけを愛してくれないんだ、という思い込みはここでも強化された。
しかし、相手の価値観が全く異なっていたことから、深い話をすると考え方がお互いに全く違っていた。自分の価値観はことごとく通用しなかった。
それが結果的に自分の価値観を壊してくことを手助けしてくれた。
そして自分の思い込みを突き付けられ向き合った。とにかく大変だった。
「なんで付き合ったの?」とよく聞かれたが、自分でも本当によくわからない。因縁としかいいようがない。相手もそう言っていた。
まさに、自分の価値観を壊すために現れてくれた存在だった。
③ 毎日見ていた景色が変わる
毎朝同じコースを散歩しているのに、昨日までの景色と全く違って見えたときがあった。木々が笑い、散歩中の犬たちが踊っているように見えた。それはディズニーアニメのような本当に美しい世界だった。変な幻覚かともちょっと思ったけど。
もしかして、同じ景色でもみんな違って見えているかもしれない、つまりそれぞれがそれぞれの夢の中を生きているんだと気づけた瞬間だった。
④ 「ねばならない」「すべき」を無くしていく
これを無くすとどっちでもいい、どうでもいい、ってなるので執着が減る。
だから、本当に必要か問いかけてみると、大したことはない。どっちでもよくなる。
こうして自分の中に余白を持たせていくと、だんだん思い込みで自分を制限していたことが見えてくる。ずいぶんネバネバ星人やってきてたな。
⑤ 人から離れた
この集まりに参加しないと次は誘われなくなる⇒嫌われる⇒ひとりぼっちになる。と思い込んでいたが、それも幻だと思えてやめた。

こうして歪んだメガネをかけて夢の中にいた世界から、抜けていった。

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