ボイトレの考え方をウォーキングに取り入れる

歩き方を教えるウォーキング教室と上手に歌を歌うためのボイストレーニング、まったく違うものですが、正しく歩くためにはウォーキング教室にボイストレーニングの考え方を取り入れる必要があります。

歩くことは、人間が人間らしくいるための、最も大切な運動です。
人間の歩き方は、体をまっすぐに立てて二本足で移動する「直立二足歩行」です。

最も賢い動物は人間です。それは他の動物に比べて脳みそが大きく発達しているためです。直立二足歩行をする動物は、人間以外ありません。
人間の脳の発達は直立二足歩行がもたらしたものなのです。

赤ちゃんもハイハイ(四足歩行)を卒業して、直立二足歩行するようになると言葉も急に増えてきます。

逆にお年寄りは、足腰が衰えて杖が必要な状態になるなど、直立二足歩行できなくなると認知症などのリスクが大きくなります。

人は直立二足歩行に適したように進化してきています。
土踏まずは人間しかありません。
歩き始めて間もない赤ちゃんには土踏まずはありません。
扁平足や外反母趾は、歩く機能が衰えている足と言えます。

背骨のS字カーブも人間しか持っていません。
生まれたばかりの赤ちゃんの背中は丸まっていて、Cの字を描いています。その後、はいはいをするようになると逆Cの字になって、歩けるようになってS字を描くようになります。
猫背や反り腰、ストレートネックは歩く機能が衰えていると言えます。

一般的なウォーキング教室では、主に歩き方のテクニックや体の使い方を指導します。

姿勢よくしないと歩けませんと説明して、正しい姿勢の作り方のテクニックを指導し、かかとから着地してつま先で地面を蹴り出す、みぞおちから脚が生えているようなイメージで丹田の部分を移動させる。腕は前ではなく、後ろに振る。

こんな感じだと思います。

しかし、外反母趾で猫背の人は正しい歩き方を教わったとしても、それを体で表現することができません。
「言っていることは判るけど、できない」という状態です。

「講師はできるようになるまで、繰り返し練習しましょう」と言いますが、直立二足歩行に適さない体の状態になっていれば、いくら練習をしても正しく歩けるようにはなりません。

意識することでできるようになったとしても、無意識になると元の歩き方になってしまいます。

膝が曲がらなければ階段を上り下りすることはとても大変ですし、肘が曲がらなければ、口元に手が届きませんから食事することができません。
歩くことも、歩くための体でないと正しく歩くことはできません。

歌のレッスンをボイストレーニングと言いますが、このボイストレーニングは2つの要素に分けることができます。

  1. 音程やリズムなど正しく声を出すためのレッスン「ボイストレーニング」

  2. 上手に歌うための歌い方のレッスン「ボーカルレッスン」

正しく声を出すことができていない人がボーカルレッスンをしても、良い歌は歌うことはできませんので、ボイストレーニングが基礎のトレーニングになります。

多くのウォーキング教室で教えるのは、ボーカルレッスンです。
歩き方を教わる前に直立二足歩行に適した体になっているかが大切です。

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