「わが輩は医師である。貯金はまだない。」
ふだんは医師として病院で働いている。
職業柄、少しばかしお金をいただいている。
しかし、通帳に記載されているそれは、一向に増える気配がない。
どうやら違うらしい
身体の勉強をたくさんした。
病気の勉強もたくさんした。
お薬の勉強もたくさんした。
けれども、お金が増えない。
言われてきたことはやった。
人よりも少し頑張ってみた。
休みも返上して働いてみた。
けれど、お金が減っている。
なんとなくではあるが
飢えることなく毎日お金を使えていることが
上手に生きている証だと思っていた。
けれども、どうやら違うらしい。
歩くATM
かわいくて仕方のない後輩に、チャリチャリンとおごってしまったり
異性とのお食事会ではお手洗いを促し、シュッといない間にカードを切ったり
友人が困っているとのことであれば、バシッと茶封筒を用意したりすることは
日常茶飯事だ。
そんななか、風の便りによると
暗証番号のいらない
手数料のかからない
壊れることのない
ないないづくしの「歩くATM」と呼ばれているらしい。
はじめの一歩
これまで、お金の勉強はしたことがない。
お金というものに対して偏見を抱き、畏怖して
勉学を疎かにしていたのかもしれない。
自分から遠ざけていたのであれば
そりゃあ、振り向いてくれるわけはずもない。
私は、歩くATMだ。
ご都合主義、万歳。
踏み出そうではないか、はじめの一歩を。
お金と向き合い、あわよくば抱き合い
理解を深め、興味をもってもらうのだ。
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