(5日目HELP!)真っ白な気持ちでビートルズのアルバムを1日1枚づつ聞いた感想
家にいる時間が長くなった四月以降。いままで自分の人生から避け続けて来た「ビートルズと向き合おう」ということで、1日何があっても1枚の英盤オリジナルアルバムを聞き続けるルールでやってきました。
バックグラウンドや山程あるエピソードは触らずに、あくまで印象批評に徹することができるのか!
いよいよ前半の山場!5枚目です。
5日目にして私のビートルズベスト・アルバム決まりました。
この「ヘルプ!」です。
アルバムを聞くと、昔アナログレコードをかけながら、針の位置を見て曲間の隙間で「次何が来る?」とワクワクしていた記憶を思い出しました。
まずは、A面を順番に感想と高級割烹のコースのような表現を付けて紹介します。
1.「ヘルプ!」 ジョン・レノン
歌詞の内容は思いっきり鬱なのに、表現はこのノリの良さ!ジョン・レノン複雑!
『料理でいうとお通しからもうスゴイ、圧倒される』
2.「ザ・ナイト・ビフォア」 ポール・マッカートニー
ポールに絡むコーラス最高!
『ベーシックな料理にも職人の技と仕込みに言葉を失う』
3.「悲しみはぶっとばせ」ジョン・レノン
曲だけ聞くとアメリカの中部の民謡・労働歌みたいなんだけど、言ってることはやっぱり複雑。邦題どうにかならないか。
『あん肝を使った料理と思ったらフォアグラで驚いた』
4.「アイ・ニード・ユー」ジョージ・ハリスン
ついに来た!第3の男!ジョン&ポールの職人技巧対決の中で、原点からのストレート発信が気持ちいい。
『フォアグラの後、さっぱりとした白身魚の昆布締めです』
5.「アナザー・ガール」ポール・マッカートニー
『もう、頭が働かない!板前の繰り出す料理に身を委ねるしかない心境』
6.「恋のアドバイス」ジョン・レノン
ここでこのうねり!
『アワビの肝のすごいご飯が出てきて、思わず止まらなくなりお代わしてしまった」
7.「涙の乗車券(ティケット・トゥ・ライド)」ジョン・レノン
『デザート終わったと思ったらまた別のコースの1品目出てきたような驚き、ごちそうさまです。もう満足です』
このA面は並び完璧!
あなたの長い人生の中で17分だけ「HELP!」のA面を集中して聞けば極楽浄土間違いなし!
鎌倉時代に法然聖人がいった「難しいこと知らなくても、時間の短い長いに関係なく、意味がわからなくても、このお経を唱えることでOK」(そうとう意訳です)に通じるホンモノの凄さがあります。
人がどう言おうと、楽器が出来なくても、英語が分からなくても、コード進行知らなくても、レンタルでもサブスクでも「イイものをイイと思えることに人生の意味がある。そこに理由づけをするのは野暮」と僕も最近分かりました。
いいたいことは「これぞLP・アルバムの醍醐味」
割烹も配信DJもテレビ局もイトーヨーカドーのBGMもラインナップビジネスの全てはここを目指すべき!
予想通りでもダメ出し、裏切り過ぎてもダメ。
前の曲で準備された感情を残しつつ、気持ち良く方向転換されるように次へ運ぶ流れ。
本作は映画のサントラでもあるので、「HELP!」の邦題は「4人はアイドル」となってます。「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」といい、タイトルの付け方がザラついていて山師的ですね。
良くヒット作のタイトルやキャッチコピーを考えた人がインタビューで自慢したりしてますが、そんな時に僕は思うんですよね。
たまたまでしょ!
当たったから言ってるだけでしょ!
日本の市場が上がり調子の時代に担当だっただけでしょ!
ビートルズがスゴイって話でしょ!
かなり意地悪かもしれないですが、インタビューとかで前に出てくる人って、今みたいにエンターテインメントビジネスが難しい時代に、何の提案も出来ない人が多いんですよ。
困ってる時に助けてくれない奴みたいな感じです。
「ヒット作で俺が当てた!」と出てくる関係者は、大体悪いやつだと思ってます。
本当に仕事した人は自分の実力を知り、裏で割食った人の涙を思って、控えめな人生送っているはずです。
もどします
B 面4曲目の「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」は、B面で一番好きな曲です。
前アルバムの「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」と呼応するような曲。
ポール主導の曲とおもいますが、今度はジョンとコーラス。
英単語の発声も自然で聞き取りやすく、内省的なメッセージを低い目線から優しく歌います。
でも、このサビとかドラムとか結構力強いものがある。
そしてB面6曲目「イエスタデイ」が登場してきます!
B面!しかも6曲目(B面全7曲)というところが憎い!
レコード聞きながら、またレコードの針の位置見て「そろそろアルバムも終わりだな、針上げる心構えするか」などと思いながら、「まだラス前……」と油断したところに「イエスタデイ」ですよ。
しかもこの歴史的名曲も、尺は2分5秒しかない。
ゆで卵でも半熟の時間で終わります。
ポールの歌声に没入した途端終了。
「えっ、今の何、何が起こった!」と聞き手が戸惑っていると、ジョンのロックンロール「ディジー・ミス・リジー」で盛り上がって終わるので、「イエスタデイ」で見た白日夢は謎のままで終わります。
このビートルズ的な構成も『上手い、スゴイ、最高』の三拍子のバカな感想しか思い浮かばないです。
才能ある人が最高に乗っている時、例え大急ぎでやった仕事は、凡人がたっぷり時間かけてやった仕事よりも、10000倍良いというのは残酷な話ですが。
映画「YESTERDAY」でも主人公が散々な目にあい、人生のどん底の心境で「イエスタデイ」歌った時に、そこで初めて聞いた友人全員が瞬時に傑作と感じ取るシーンで出てきます。
この名曲「イエスタデイ」。今検索するとOfficial髭男dismが大量に出てきます。
(つづく)
キャラは明るく事件はシリアスなミステリーばっかり書いてます。ご一読賜われれば至福です!
ドラマ企画100本目指します!