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『雨は油より高い』と言われる沙漠で、水の大切さを痛感した話

今からもう13年も前の2009年、中国の内モンゴル自治区にあるウランブハ沙漠での植林活動に参加しました。


その時に、現地の方が

「ここでは、『雨は油よりも高い』って言われるくらい、雨が降らないんだ」

と教えてくれました。

雨が降らないということは、水がとても貴重であるということ。

実際、宿のシャワーの水量はとても少なく、水は砂交じりでシャワーヘッドの穴に砂粒が詰まっていました。

そしてもちろん、トイレの水量も少ない。


植林活動最終日の夜、仲間の部屋に男女十人程で集まってたわいもない話で盛り上がっていました。

そんな時、私は便意を催しました。

部屋主の友人にトイレを借りる旨を伝え、便座に腰を下ろし、精一杯出し切ってほっと一息。

「さあ、みんなの元に帰ろう!」

清々しい気持ちでレバーを回す。 が…

流れない…だと…!?


そうだった、ここでは 『雨は油より高い』 と言われるくらい水が貴重なんだ…!



しかし、友人の部屋のトイレに我が子をそのままにするわけにもいかず、

備え付けられていた洗面器を使って水を追加したり、

時間を置いて何度もレバーを引いてみたりするものの、堂々とした姿で鎮座する我が子。

狭い空間で見つめ合う。
心臓がドキドキして、額に汗が流れる。

同じ志を持ち、共に木を植えた仲だとはいえ、まだ出会って数日…
当時の私は二十歳そこそこのうら若き乙女…
我が子をこの場に残すことはもちろん、他人に見せるわけにはいかない…! 

トイレ内にある数少ないアイテムを駆使してなんとかこの状況を打破しようと試行錯誤してみるも、
我が子は頑なに居座り続けるのでした。

わかったよ、私の負けだ。

あなたをこんなにも立派に生んでしまった私が悪かったんだ。


もうこれ以上トイレに長居するわけにもいかない。
正直にみんなに話すしかない…!

心を決めて、トイレのドアを開けると、一人の友人(男性)がトイレの順番を待って立っていました。


「あ…!ごめん!そ、その、トイレの水が流れなくて…」

「あぁ、それで時間かかったん?笑
 えぇよえぇよ、うんこちゃうんやろ?

「…!」(もう口をぱくぱくするしかない私)

「え、まさかうんこなん?」

「…!!」(無言で首を縦に振るしかない私)


その後、友人たちに事情を話し、朝になったら宿のスタッフに相談することに。

そのトイレは封鎖され、向かいの友人の部屋のトイレが開放されました。


翌朝、その部屋に宿泊していた友人がそっと私に言いました。

「みぃや、ごめん…朝、どうしてもトイレしたくなって、その…見ちゃった。」

私の方こそ、本当にごめんなさい。


友人によると、長時間水に浸かりふやけた我が子はすんなり流れたそうです。



沙漠では、『雨は油より高い』と言われるくらい水が貴重です。

このような悲劇を繰り返さないためにも、沙漠化を止めなければなりません。

そうだ、木を植えよう。


最後まで読んでくださりありがとうございます。 ほんの少しでも、あなたの心に響いていたら嬉しいです。