男と食 5 | 井上敏樹
平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。前回に引き続き、今回も食がテーマです。食通の敏樹先生を唸らせた滋賀県の名店から、話題は各国の女性文化へと及びます。
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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第34回
男 と 食 5 井上敏樹
前回、滋賀の名店『比良山荘』の熊鍋について書いたが、熊と言えば、もう一件、忘れられない店がある。やはり滋賀ー余呉湖の畔にある『徳山鮓』である。最近ではテレビや雑誌でちょいちょい紹介されているので、ご存じの方も多いだろうが、本来、徳山鮓の名物は鮒ずしである。鮒ずしと言うのは鮒を米で漬けて発酵させたもので、強烈な匂いと酸味で好き嫌いが分かれる。私はこれが大好きであちこち食いまくったが、徳山鮓のものは最も洗練された味わいである。まるでチーズだ。主人の腕と工夫もあるだろうが、余呉湖のニゴロ鮒の質がいいのだろう。
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