男とペット2 | 井上敏樹
今朝のメルマガは平成仮面ライダーシリーズの脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』第20回です。今回のテーマは「男とペット 2」です。井上家の最初のペットになった、賢いイケメン犬「トナ」。しかし、そこにヒヨコの「ピヨ」というライバルが出現します。ピヨと敏樹先生の出会いとは……?
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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第20回
男 と ペ ッ ト 2 井上敏樹
さて、ペットである。私が子供の頃、家の庭に迷い込んで来た子犬はトナと名付けられ我が家の最初のペットとなった。私がまだ5、6歳の頃である。この初代トナは私がこれまでに飼った中でも最も優秀なペットだった。まず、イケメンである。そしてなによりも頭が良かった。ペットを飼った事のある方なら分かると思うが、頭が良いと言うのはなによりも大事な事なのだ。犬であれ猫であれ、頭の悪いものはただ甘えるだけである。女と同じだ。しかも誰彼なく甘え、節操も義侠心もない。これも女に似ている。頭が良いペットは主人の気持ちに敏感である。要するにわきまえている。それがいい。ちなみにペットと言っても爬虫類となると頭の良い悪いは関係なくなる。頭の良い蛇やらトカゲやらはあまり聞かない。ここらあたりは飼う事自体に意味があるのだろう。昆虫もそうだ。頭脳明晰なカブトムシには会った事がない。いたら怖い。さて、わが家のトナがどれぐらい賢かったかと言うと、野球のルールを理解していた。法螺ではない。マジだ。私が子供の頃の遊びと言えばまず野球だった。トナは守備につけば相手チームの打球を口でキャッチし、攻撃に回ればバッターボックスで尻尾を振った。それにしてもいい時代だった。なにしろ今のように犬の散歩をする必要がなかった。放し飼いが出来たのである。
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