男と食2 | 井上敏樹
平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。「食」には人柄が表れるという敏樹先生。馴染みの大将と弟子の関係を見ながら、自分と弟子の関係に思いを馳せます。
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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第31回
男 と 食 2 井上敏樹
『あなたがなにを食べているかを言ってみたまえ。あなたがどんな人間か当ててみせよう』と、どこかの美食家が言っていたが、これはなかなか説得力がある。
確かに食生活はその人間を表現する。筒井康隆の小説に誰かの吐瀉物を嘗めて吐いた人間の性格、職業、肉体的な特徴までを当てるというエピソードがあったが、そこまでは無理としても、まあ、相手の趣味嗜好、生き方のセンスのようなものはなんとなく分かる。さらに言うと『なにを食べているか』を『どんな店に通っているか』に変えるとなお分かり易い。だから私は誰かを店に招待する時はいつも緊張する。また、招待される場合も同様である。相手のセンスはもとより相手の自分に対する評価が分かるからだ。
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