note用人類を前に進めたい

自分と〈世界〉を一体化させたい! | 猪子寿之

今朝のメルマガは、チームラボ代表・猪子寿之さんによる連載『猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉』の第12回です。今回は『Pokemon GO』や『シン・ゴジラ』などのヒットコンテンツを分析しながら、チームラボ作品がいかにしてそれらの作品と闘えるかについて話しました。新作『カラス』や表参道の展示を通じて考えた、「展示方法」と「作品」の概念の拡張とは――?
◎構成:稲葉ほたて
【お知らせ】
この連載が元となった猪子寿之×宇野常寛『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』が好評発売中です。


■ジョン・ハンケと猪子寿之の違い

宇野 猪子さん、『Pokemon GO』やってる? 僕はまだレベル8くらいで止まっているんだけど。

猪子 いや、リリースされた直後は超やってたんだけどね……。宇部市ときわ公園で「呼応する森」という展示をしてて、ちょうどその出張中に始めたの。

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▲山口県宇部市ときわ公園で開催された「呼応する森

宇部市って彫刻が多い街なんだけど、『Pokemon GO』をやっていると「あ、こんなところに彫刻が!」という発見がたくさんあってすごく楽しかった。それで、東京に帰ってきてからもその勢いでやっていたんだけど、よくよく考えたら俺の東京の生活って自宅と会社の往復ばかりで、本当につまらないわけ(笑)。もはや『Pokemon GO』がつまらないのか俺の人生がつまらないのか……という問題に直面してしまったわけだよ。

宇野 俺は『Ingress』のときもハマってたんだけど、やっぱり2〜3か月でやめちゃったんだよね。奇しくも『Ingress』のおかげで「こういうものに気をつけて歩くと面白いスポットが見つけられる」という散歩のコツがわかってきて、要するにゲームという支援装置が要らなくなってしまったんだよね。
でも、『Ingress』と『Pokemon GO』を作った元Google副社長のジョン・ハンケは「ゲームの力で人を外で歩かせることが目的なんだ」というようなことを言ってて、両作ともそれ自体は達成されてはいるんだよ。

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▲『Ingress』プレイ画面

【参考】
宇宙の果てでも得られない日常生活の冒険――Ingressの運営思想をナイアンティック・ラボ川島優志に聞く ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.246 ☆

猪子 でも、その後が続かないってことだよね。『Pokemon GO』はひたすらアイテムやポケモンをとるのみで、街とか全く見なくなっちゃった。周りを見ていても、みんな途中からAR機能は切っているしね。

宇野 へー、僕はまだ切っていないけどね。あのビジュアルはやっぱりいいと思うから。

猪子 それは珍しいね。結局ゲームって、ある種の報酬制度を使った中毒性でできていると思うんだけど、それが目的化しちゃうとパチンコと一緒でひたすらその報酬を求めるのみになっちゃうんだよ。ただの中毒患者としてやらされてる感じで、今はプレイするのが嫌だもん(笑)。

宇野 ただ、まずは世界中のゲームとか全くやったことのないおばちゃんとかにARゲームをやらせるということが彼らの目的だったと思うんだよ。『Ingress』は敷居が高くて、暇なインテリしかやってなかったけれど、『Pokemon GO』でその敷居を下げることには成功したとは思う。この先、封印していた機能もどんどん解放されるだろうしね。プレイヤー同士のモンスター交換とか。
なんで『Pokemon GO』の話をしたかというと、最近のチームラボの作品って、ジョン・ハンケとは違うかたちで、テクノロジーの力を使って「人間が世界を眺める視線」に介入していると思うんだよね。

猪子 どういうこと……?

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宇野常寛が編集長をつとめる〈PLANETS〉の公式noteです。政治からサブカルチャーまで、ざまざまな分野のスペシャリストが集まっています。独自の角度と既存メディアにはできない深度で、読むと世界の見え方が変わる記事を月に20本以上の記事を配信しています。