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現役官僚のニューヨーク駐在日記

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本連載では、現役官僚である橘宏樹さんが、ニューヨークへの赴任から1年を経たタイミングで、改めて感じたアメリカの政治風土を日本の読者向けに紹介していきます。
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老骨に自ら入れる鞭の驚くべき強さ~バイデン大統領一般教書演説~|橘宏樹

橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第12回 老骨に自ら入れる鞭の驚くべき強さ~バイデン大統領一般教書演説~ お久しぶりです。橘宏樹です。だいぶ間が開いてしまって申し訳ありませんでした。仕事が忙しいことに加えて、1歳数ヶ月となる子供の世話で毎日ドタバタです。子育てあるあるですが、お風呂に入れて、添い寝しながら寝かしつけると、日中の疲れもあいまって、いつの間にか自分も寝入ってしまいます。すんでのところで睡魔に打ち勝ち、ようやく自分の時間ができたとしても、そこから何か文章を書

「パレード」から読み解くニューヨーク(後編)|橘宏樹

橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第10回 「パレード」から読み解くニューヨーク(後編)4 イスラエル・パレード 毎年6月に行われるイスラエル・パレードは、AAPIパレード以上に「政治的」です。今年は特別な事情もあって、一層バチバチしていました……。  イスラエル・パレードは、ニューヨークのユダヤ人たちが、イスラエル国家の存続を訴えサポートの意志を表明する目的で行われ、1965年から約70年続いています。今年は6月4日に開催され、イスラエル建国75周年の祝賀の意味も

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「パレード」から読み解くニューヨーク(前編)|橘宏樹

橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第10回 「パレード」から読み解くニューヨーク(前編) おはようございます。橘宏樹です。6月のニューヨークは異常気象から始まりました。カナダでの山火事の煙が流れ込んできて、空がオレンジ色に染まりました。CNNによればこの時の大気汚染の程度は瞬間的ながら世界最悪だったとのことです。太陽の翳り方からして、世紀末というか、地獄というか、火星というか、なんとも現実感のない光景が広がっていました。空気もはっきりと焦げ臭くて、煤を吸い込んでしまう

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ニューヨークのイノベーションシーンについて(後編)#1|橘宏樹

橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第11回 ニューヨークのイノベーションシーンについて(後編)#1 おはようございます。橘宏樹です。8月のニューヨークは7月に比べて少し涼しく感じます。しかし、過ごしやすいなどと、のんきなことを言っていられる状況ではありません。現在、ニューヨークでは、移民の増加が大問題になってきています。中南米やアフリカからの移民は陸路でメキシコ側の国境を通り、テキサス州やアリゾナ州にたどり着くわけですが、これらの州の知事は共和党で、バイデン政権の移民受

ニューヨークのイノベーションシーンについて(中編)|橘宏樹

橘宏樹さんが、「中の人」ならではの視点で日米の行政・社会構造を比較分析していく連載「現役官僚のニューヨーク駐在日記」。 今回は、世界最高峰の研究機関で、日本の「理研」とも共同研究を行っているブルックヘブン国立研究所について紹介します。最先端の物理学研究が持つ実利的な側面と、それを国際競争に応用する日米それぞれの戦略とはどんなものなのでしょうか。 橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第9回 ニューヨークのイノベーションシーンについて(中編) おはようございます。橘宏樹です

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ニューヨークのイノベーションシーンについて(前編)|橘宏樹

橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第8回 ニューヨークのイノベーションシーンについて(前編)▲トルコの国連代表部・在米トルコ人協会の前。被災した母国に物資を送る作業が昼夜問わず行われています。  おはようございます。橘宏樹です。2023年も2月に入りました。昨年末は寒波に襲われたかと思えば、1月は雪ひとつふらない暖冬でした。そのくせ今月に入ると、体感マイナス20度級の極寒日が続きました。なんとも寒暖差が激しく、体調を崩しやすい日々です。  年末年始は育休を取得してお

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「分断」から「瓦解」へ──変質する民主主義の危機 ~中間選挙を読み解く3つの視座~|橘宏樹

橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第7回 「分断」から「瓦解」へ──変質する民主主義の危機 ~中間選挙を読み解く3つの視座~  おはようございます。橘宏樹です。ニューヨークでは、11月24日にサンクス・ギビング・デイ(感謝祭)を迎えました。去年に続き今年もアメリカ人の友人宅にお招きいただき、大きな骨付きハムを分け合って楽しい時間を過ごしました。感謝祭の料理と言えば七面鳥がおなじみですが、ハムの流派も多いのだとか。 ▲手製のサンクス・ギビング・ハム。グランベリーなど甘

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あなたの持ちものを欲しがる人に売ることをビジネスとは言わない(後編)|橘宏樹

【訂正とお詫び】 本記事において編集部のミスにより画像の一部訂正があるため、再配信を行いました。読者の皆様にはご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げますと共に、再発防止に編集部一同努めて参ります。このたびは大変申し訳ございませんでした。 橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第6回 あなたの持ちものを欲しがる人に売ることをビジネスとは言わない(後編) おはようございます。橘宏樹です。今年のニューヨークの夏は去年に比べてもかなり暑かったです。35度を超える日も少なくありません

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あなたの持ちものを欲しがる人に売ることをビジネスとは言わない(中編)|橘宏樹

現役官僚である橘宏樹さんが、「中の人」ならではの視点で日米の行政・社会構造を比較分析していく連載「現役官僚のニューヨーク駐在日記」。 マーク・ザッカーバーグが象徴するように、アメリカ社会・グローバル市場において大きな影響力を持つユダヤ系の人々。彼らの力の源泉は何なのか、橘さんならではの分析をおこない、日本の経済状況との比較からみえてくることについて解説します。 橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第5回 あなたの持ちものを欲しがる人に売ることをビジネスとは言わない

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あなたの持ちものを欲しがる人に売ることをビジネスとは言わない(前編)|橘宏樹

現役官僚である橘宏樹さんが、「中の人」ならではの視点で日米の行政・社会構造を比較分析していく連載「現役官僚のニューヨーク駐在日記」。 今回は、ニューヨークひいてはアメリカ社会で大きな存在感をもつユダヤ系の人々について。市内人口の9%を占め、金融・経済・政治・メディアの重要局面で絶大な影響力を発揮するユダヤ人社会が、現在どのような状況にあるのかをタイプ別に解説します。 橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第4回 あなたの持ちものを欲しがる人に売ることをビジネスとは言

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あなたに電動キックボードの声が聞こえるか(後編)|橘宏樹

現役官僚である橘宏樹さんが、「中の人」ならではの視点で日米の行政・社会構造を比較分析していく連載「現役官僚のニューヨーク駐在日記」。 先端的なニューヨーカーたちが日常的に使う電動キックボードを、さっそく自らの通勤の足に採り入れた橘さん。そこで得られた気付きから、日本の研究支援やビジネスの現場に持ち帰れるものが何かについて、思考を進めていきます。 (前編はこちら) ◯お知らせ 今年度より、コンテンツ再編にともないPLANETS noteの配信日を毎週月曜日・火曜日・金曜日と変

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あなたに電動キックボードの声が聞こえるか(前編)|橘宏樹

現役官僚である橘宏樹さんが、「中の人」ならではの視点で日米の行政・社会構造を比較分析していく連載「現役官僚のニューヨーク駐在日記」。 ロシアのウクライナ侵攻に対するリアクションが街のそこかしこに現れ、有事の空気感が漂う中で、先端的なニューヨーカーたちが日常の足として使う電動キックボードが象徴する、イノベーションに対するメンタリティについて考察します。 橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第3回 あなたに電動キックボードの声が聞こえるか(前編) おはようございます。ニュー

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分断に対抗する選挙制度改革:勝者がルールを決めるのか。ルールが勝者を決めるのか(後編)|橘宏樹

現役官僚である橘宏樹さんが、「中の人」ならではの視点で日米の行政・社会構造を比較分析していく連載「現役官僚のニューヨーク駐在日記」。 選挙制度改革について論じる第2回の後編です。近年、採用が進められている「順位選択式投票」。深刻化する社会の「分断」を解決する手段となり得るのか、そして日本人の政治不信解消にはどのような議論が必要なのか考察しました。 (前編はこちら) 橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第2回 分断に対抗する選挙制度改革:勝者がルールを決めるの

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分断に対抗する選挙制度改革:勝者がルールを決めるのか。ルールが勝者を決めるのか(前編)|橘宏樹

現役官僚である橘宏樹さんが、「中の人」ならではの視点で日米の行政・社会構造を比較分析していく連載「現役官僚のニューヨーク駐在日記」。 今回は、コロナ禍での政府の意思決定のあり方について。未曾有のパンデミックを前にどの国でも臨時的な対応が迫られるなか、米国ではそれがある程度許容されているようですが、そこには意思決定プロセスの「透明性」に鍵があるようです。 橘宏樹 現役官僚のニューヨーク駐在日記 第2回 分断に対抗する選挙制度改革:勝者がルールを決めるのか。ルールが勝者を

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