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一抹の不安はチョコレートが解決する
着陸の一時間くらい前から、なぜかわたしの真横に真っ白な歯が眩しい爽やかなカタール男性CAがずっといて、目を合わせれば満面の笑顔を見せ、どっか行ったと思えばチョコレートや機内グッズなどを持ってきた。
ヨーロッパのコロナ情報については、半ば賭けみたいなものだった。
知り合いや、さまざまな記事の言ってること書いていることが違うのは当然、毎日政策が変わるからだ。
日本を出る直前まで不安だと嘆いてたわたしに、じゃあ行くなよこんな時期にとごもっともな答えをくれた友人。
ただ、居ても経ってもいられなくなるときは、突然やってきてしまうのだ。
そのときのわたしはというと、リスクを背負って国のルールや人々の目線を無視するほうが日本にいるより全然マシといった具合だった。
現地に踏み入れてからどうにかしようという心持ちにするには、もうひと押し必要だった。
爽やかCAと目が合った瞬間、すかさずわたしは口を開く。
コロナ事情をよくわかっている人に聞けばいい。
CAは笑って全然大丈夫だよと言った。そして、3個入のGODIVAのチョコレートを持ってくる。
きっと皆これにいちばん喜ぶのだろう。
もらうのはこれで3つめだ。合計9個になったチョコレートをどうしよう。わたしはチョコレートが食べられない。
けれど、彼の可笑しい行為はとても嬉しかった。
ひとまず、不安は上空で消し去ることができた。
着陸までに、チョコレートはもうひとつ追加された。12個。12個?
飛行機を降りて荷物を待っていると、機内でわたしの隣の席に座っていた中国人女性が話しかけてきた。大きなサングラスが綺麗に染められたブロンドヘアに乗っかっていて、ブランドものを全身に纏っている。
彼女はイタリアに住む、今回は息子に会いにきたそう。彼女は入国審査から駅までわたしと一緒にいてくれて、最後は「なんかあったらLINEして」とQRコード画面をわたしに向け、クールに去っていくのだった。幸先がよい。
市街地へ向かいたかったわたしだけれど、何もわからないのでとりあえずチケットカウンターに行き、ホテルの住所を見せて、1番安い方法でここに行きたいと言った。15ユーロのバスを案内してくれた。
わたしが何もわからない赤ちゃんのように見えたのか、
大丈夫?
トイレは?
大きい荷物はココに置いておいて
ホテルの場所はわかるの?
などと、面白いくらいに面倒を見てくれた。
どういうわけだか、いつも人に救われる。
ローマは暑かった。
中世の歴史的な建造物が建ち並び、どこを見ても、楽しかった。
ローマは狭く、代表的な観光スポットはどれも歩ける距離にあった。きっと、3.4時間あれば制覇できるだろう。
トレビの泉は人がごった返していて、たしかにスリにも遭いやすそうな場所だった。真っ白な石で作られた立派な彫刻が、ターコイズ色の泉を囲っていた。
教会は点在していて、ランダムに入ってみる。教会の壁画はどれも絢爛としていて、社会の資料や美術史の本でみた、そのままの絵が一面に描かれていた。
Piazza Navova というひらけた場所に来た。
テラス席のレストランやバルが、噴水のある広場にずらりと並んでいて、人々はパラソルの下、ローマの雰囲気を感じながらワインを楽しんでいた。
なんとなく、雰囲気を楽しむ程度の観光だったら、もうお腹いっぱいな気にもなってきたし、そろそろ足も限界に近付いてきた。
なんとも愉快な街だ。気さくに話しかけてくる人や、道端で演奏している人もいる。
陽気な街だ。
いい。
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