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踏切の向こう側
あの日、私は普段とは違う旅先で一人、県境の街を歩いていた。都心での平凡な日常から少し離れて、自分の好奇心を満たすための短い旅行だった。私は古い鉄道の無人駅近くの踏切の前に立ち止まり、カメラを構えていた。遮断機が下りて、遠くから汽笛が聞こえてくる。汽笛の音が静かに街を包む中、私はふとその先に何があるのか知りたくなった。
遮断機が上がるのを待ち、列車が去った後の線路を越えると、異世界に迷い込んだような感覚に襲われた。タイヤ痕が続く道をたどり、知らない街の風景に目を奪われた。人々の表情、建物の形、空気の匂い、すべてが私の知る場所とは違っていた。
「この場所は一体……」
歩を進めると、何かが変わっていくのを感じた。タイヤ痕は次第に消え、代わりに見慣れない植物や奇妙な生物が現れ始めた。まるで別の世界に足を踏み入れたようだった。好奇心に駆られた私はさらに奥へ進んだ。
すると、突然目の前に巨大な構造物が現れた。それは古代の遺跡のようでありながら、どこか未来的なデザインを持っていた。私はその入口に足を踏み入れた。内部は広大で、壁には複雑な模様が刻まれていた。
奥へ進むと、一つの部屋に辿り着いた。その中央には巨大な機械が鎮座しており、静かに光を放っていた。全くの無音の中、私はその機械に引き寄せられるように近づいた。
そのとき突然、機械が動き出した。光が増し、機械の内部からは映像が浮かび上がった。それは私が今まで見たことのない、まるで未来の光景だった。都市が空中に浮かび、車が空を飛んでいた。すべてが私の知る現実とは違う世界だった。
「これは……未来の光景?」
機械の前に立つ私の頭の中には、一つの疑問が浮かんだ。この光景はただの幻影なのか、それとも本当の未来なのか。しかし、答えが出る前に機械が再び沈黙し、光は消えた。
いつのまにか、私は再び現実に戻っていた。しかし、あの体験を私は忘れることができなかった。自宅に帰った後も、あの機械のことが頭から離れなかった。そして、ある決意をした。再びあの場所を訪れ、真実を確かめるための旅を始めようと。
遮断機の向こう側に存在した世界。それは私にとっての新たな冒険の始まりだった。
再びあの古い鉄道の無人駅近くの踏切に立った私は、前回と同じように遮断機が上がるのを待っていた。列車が通り過ぎ、遮断機が上がると、私は再び線路を越えた。しかし、そこには以前のような異世界はなかった。タイヤ痕が続く道も、奇妙な生物も見当たらない。
あの日の出来事は一体何だったのか。私の中で疑念が渦巻く。しかし、ふと足元を見ると、かすかなタイヤ痕が残っているのを発見した。その痕を辿ると、再びあの巨大な構造物が現れた。
しかし、今回は違った。構造物の前には一人の人物が立っていた。彼は私に微笑みながらこう言った。
「君も探しに来たのか。真実を」
私は驚きながらも、その人物の言葉にうなずいた。彼とともに再び構造物の中へと足を踏み入れた。その瞬間、全てが変わり、私は自分がまだ何も知らない赤子のような存在だと痛感した。
あの世界への扉が再び開かれた時、私は自分の足で真実を見つける決意を新たにした。この世界は、まだまだ謎に満ちている。それを解き明かすために、どれだけの時間が必要かわからないが、私は進み続けるだろう。
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