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未来への投影

 私の名は川村彩花、16歳の普通の高校生。平凡な日常を送っていた私の人生が急激に変わる出来事があった。ある日、学校からの帰り道、古ぼけた小さな店を見つけた。その店には「記憶装置」と書かれた看板がかかっていた。好奇心に駆られ、中に入ると、店主の老人が微笑んで迎えてくれた。

「いらっしゃい。君に見せたいものがあるんだ」

 老人はそう言うと、奥の部屋へと私を案内した。部屋の中央には、奇妙な機械が置かれていた。記憶装置と書かれたその機械は、古代と現代、未来をつなぐ装置だという。

「これに触れてみなさい。君の未来が見えるかもしれないよ」

 半信半疑で装置に手を触れると、突然、眩い光が視界を覆った。次の瞬間、私は全く違う場所に立っていた。目の前には広大な都市が広がり、空には巨大なスクリーンが浮かんでいる。そこには、私が見知らぬ少女が映っていた。

「川村彩花、君が未来を変える希望だ」

 声が聞こえた。振り向くと、そこには記憶装置の老人が立っていた。

「ここは君の未来だ。この世界は、記憶装置によって支配されている。人々は過去の記憶に囚われ、未来への希望を失っているんだ。」

「どうして私がそんなことを…?」

「君には特別な力がある。投影能力だ。」

「君の投影によって、この世界の人々は過去の記憶から解放され、希望を取り戻すことができるんだ」

 私は困惑しながらも、老人の話を信じるしかなかった。投影能力を使って、未来の人々に希望を与える。それが私の使命だった。

「どうすればいいの?」

「まず、投影を始めるんだ。君の心にある希望を、この装置を通して世界に伝えるんだ」

老人の指示に従い、私は装置に再び手を触れた。心の中に未来への希望を強く描き、それを投影した。次の瞬間、都市全体が光に包まれ、人々の顔に笑顔が戻った。

「成功したよ。君のおかげで、この世界は希望を取り戻した」

 老人は微笑みながら言った。しかし、私の心には一つの疑問が残った。

「でも、これは本当に現実なの?夢じゃないの?」

 老人は答えなかった。ただ、優しく微笑んだだけだった。

 そして、気が付くと、私は元の場所に戻っていた。店は消えてなくなり、ただの空き地になっていた。まるで幻のようだった。しかし、私の心には確かに希望が残っていた。

 数日後、学校で友達と話していると、未来の都市で見た少女が目の前に現れた。彼女は私に微笑みかけ、「君のおかげで、未来が変わった」と言った。

 その瞬間、私は確信した。あの出来事は夢ではなく、現実だったのだと。私は未来を変える力を持っていたのだ。そして、その力を使って、これからも人々に希望を与え続けることを決意した。

 そして私は知った。古代と現代、未来をつなぐ役割が自分に託されていることを。これからも私は、投影能力を使って、希望を広めていくのだと。終わりのない物語の始まりだった。

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