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透明な夏

 都心の裏路地を歩いていると、突然の違和感に襲われた。猛暑のはずなのに、体が涼しい。周囲を見渡すと、人々の姿が透き通って見える。私だけでなく、皆が半透明になっていた。

 不思議に思いながら歩を進めると、古びた本屋が目に入った。店内に入ると、一冊の本が目を引く。表紙には『透明化の謎』とあった。

 本を手に取ると、中から一枚の写真が落ちた。そこには巨大なスイカと、透明なカブトムシが写っていた。写真の裏には『実験成功』の文字。

 その瞬間、頭に閃きが走った。この写真は、誰かの実験だったのだ。しかし、なぜ? 何の?

 考えを巡らせていると、本の最後のページに気づいた。そこには『実験終了』のボタンが描かれていた。躊躇なくそれを押すように指を置いた。

 すると突然、周囲の景色が歪み始めた。目を開けると、私は自宅のベッドの上にいた。枕元には『透明な夏』というタイトルの小説が置かれていた。

 夢だったのか、それとも……。窓の外を見ると、半透明の蝶がヒラヒラと舞っていた。​​​​​​​​​​​​​​​​

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