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森の郵便箱

 私は普通の少女だ。ミステリー小説を読むのが好きで、休みの日にはカメラを片手に地元の都心部を歩き回る。パン屋の前を通ると、焼きたての香ばしい匂いに引き寄せられる。日常は平穏そのもので、特に変わったことはない。

 しかし、去年の夏休み、私は思いがけない冒険に巻き込まれた。

 ある日、森の中で一枚の手紙を見つけた。手作りの木製のポストに入っていたその手紙には、古めかしいインクで書かれた招待状が入っていた。『森の奥深くへ来てください』とだけ書かれていた。好奇心旺盛な私は、すぐにその招待状に従うことに決めた。

 翌日、リュックにカメラとパンを詰めて、森の奥深くへと向かった。道中、私は鳥のさえずりや木漏れ日の美しさに心を奪われた。やがて、森の奥で古びた木造の家を見つけた。その家の前には、再び同じ手作りの木製のポストが立っていた。

 思わずポストを開けると、また手紙が入っていた。『ここで待ってください』 私は少し不安になったが、そのまま家の前で待つことにした。しばらくすると、見知らぬ老人が現れた。老人は私に手紙を渡しながら、言った。

「お前が来るのを待っていた」

 手紙には、飛行機の絵が描かれていた。老人は続けて言った。

「この森には時間と空間を超える秘密がある」

 私は驚きと共に、その話に引き込まれた。老人の話によれば、この森の中には、異なる時間と空間が交差する場所があるという。

 その後、老人は私を家の中に招待した。家の中には、古い写真や地図が所狭しと飾られていた。老人は一冊の古びた本を取り出し、私に見せてくれた。その本には、未来の出来事が予言されていた。私の写真もそこに載っていた。

 私はその本に書かれた自分の運命を知りたくなり、ページをめくった。すると、次のページには飛行機のチケットが挟まれていた。そのチケットには、未来の年月日が書かれていた。私はそのチケットを手に取ると、不思議な力が体に流れ込むのを感じた。

 突然、目の前が真っ暗になり、次に気がついたときには、飛行機の中にいた。周りを見回すと、乗客たちはみな未来の服装をしていた。私は驚きと興奮を抑えながら、飛行機の窓から外を眺めた。そこには、想像を超える未来の都市が広がっていた。

 飛行機が着陸し、私は未来の都市に足を踏み入れた。そこでは、私が見たこともない技術を使って人々が生活していた。私の存在は誰にも気づかれないまま、その都市を探索した。しばらくして、私は未来の自分に出会った。未来の私は、大きな決断をしようとしていた。

 未来の私は、過去に戻る方法を探していた。私は未来の自分に助言を求めた。未来の私は、教えてくれた。

「過去の自分に手紙を書いて、森の木製のポストに入れることが鍵だ」

 私はその言葉を信じ、過去の自分に手紙を書いた。その手紙には、『森の奥深くへ来てください』と書いた。そして、未来の森の中で木製のポストを見つけ、その手紙を入れた。

 その瞬間、再び目の前が暗くなり、私は元の時間に戻った。手には、未来の自分からの手紙が握られていた。その手紙を読んで、私は大きな決意をした。この森には、まだ多くの秘密が隠されている。私はそれを解き明かすための旅を続けることにした。

 こうして、私の平穏だった日常は一変し、新たな冒険が始まった。これからも私は、好奇心を持ち続け、未知の世界を探求するだろう。


 森の中の木製のポストは、今も静かにそこに立っている。未来からの手紙が再び届く日を待ちながら。

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