梅雨どきの涼しい日
梅雨どきの涼しい日が好きだ。春でもなく夏でもない、独特の季節感のある日が。もちろん、雨が降っていればなおのこといい。
新緑から濃緑へと移ろう葉の先に雨の雫が下がり、どこかで蛙の鳴く声が聞こえる。何も聞こえなくても、音楽のようなものを野に感じる。
一年でいちばん、生命感に満ちた季節なのかもしれない。雨の帳の向こうに、さまざまなエネルギーが静かに蠢いているようだ。
野の遊びが好きなアウトドア人間や自転車ツーリストは一般には、雨天を好まないと思われているようだけれども、どうも実態はそうではないようだ。
少なくとも私の友人知人関係では、この季節の雨が好きだという人が多い。一年でいちばん好きな季節だという人もいた。私もそうかもしれない。
自転車ツーリングを再開する前の数年間、梅雨どきに高原の小さな湖によく通った。ルアーやフライでラージマウスバスを追った。
梅雨が明ける頃には、朝、羽化したばかりのうまく飛べないヒグラシが湖に落ちるので、それを狙ってバスのボイルが炸裂した。
高原の湖は七月に入っても雨天の日は涼しい。車中泊で数泊、湖の横の駐車場で過ごしたことがある。
涼しい雨はこの世の幻想のようでもある。飽きない。このままずっと雨が上がらないでくれ。そんな風にさえ思ったりする。
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