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【マルシェレポート】石川県立図書館で開催されている「いしかわビブリオマルシェ」を訪問してきました

いしかわビブリオマルシェ概要(HPより
■ 日 時:令和5年7月29日(土)、30日(日)各日9:30~15:30
■ 場 所:石川県立図書館(金沢市小立野2-43-1)屋外広場ほか
■ 内 容:県産食材マルシェ・加賀太きゅうりお料理教室・HUM&Go#フェア・食べもの本棚
■主 催:石川県、いしかわ農業総合支援機構
■協 力:おまめ舎
(視察日)2023年7月30日(日)

いしかわビブリオマルシェチラシ


図書館開業に合わせて始まったマルシェ

昨年7月に開業をし石川県の新たな人気施設の1つとなっているのが石川県立図書館。いやはや本当によくできてるんですここ。とはいえ今回はそのお話ではなく、その正面入口前で開催されている「いしかわビブリオマルシェ」のお話です。図書館のにぎわい創出と地産地消を掲げ始まり、昨年8月・11月と開催し今回が3回目の開催でした。主催者の担当者の方がマルシェを始まるのにあたり、私の著書『マルシェのつくり方、使い方』を購入し読まれていたことなどのご縁から訪問となりました。

いしかわビブリオマルシェの様子

地元食材が中心の地産地消推進マルシェ

今回の出店者は2日間で15店舗。そのほとんどが生産者やJAなどの生産者団体が出店していました。その日に家に帰って料理ができるなら新鮮な農産物をたくさん買って帰りたいところでしたが、それは難しいので購入は加工品かその場で食べられるものだけとなりましたがマルシェを堪能してきました。

マルシェ会場の様子

狸の毛皮や熊の爪などが展示・販売もされているジビエのお店
販売ブースの様子
生鮮品はやはりお客様がよってきますね
JA金沢市さんはすぐ近くに直売所がありそこの商品を販売に。
加賀野菜の1つ、へた紫なすつめ放題なんてのも。。。家が近ければ買うのに。。。

お客としてまずはマルシェを堪能

視察をするにもまずはマルシェをお客様としてちゃんと楽しまなければわかりません。(うちのマルシェにも視察で来られる方がいますが、買わない・食べないで何が分かるんだろうか、天才かなと思いますよね)ということでしっかり楽しませていただきました。

●購入した商品
今回は「東京のマルシェに出店されていても購入するだろうな~」という視点の商品や、「今日ここで出会ったから買いたいな~」と思う商品まで下記の商品を購入しました。

もち麦そば・丸いもそば・かち豆・ひらたけクリームスープ・すいかカレー・すいかゼリー・すいかのくずきり・すいかビーバー・ブルーベリージャム・梨

そんな中でも、ぐっときたポイントが明確にあり購入した商品がこちら

梨は翌日ホテルで朝食代わりに食べるために購入しましたが、
他の商品は
・実用性
・勉強用
・お土産用
という目線での購入になりました。

●その場で食べた商品

その場で食べられるお店も多かったので、観光客としては石川県っぽい食べ物がいろいろ選べるのは嬉しかったですね。

ぶった農産のお茶
図書館のカフェとコラボし「ヘタ紫なすミートバーガー」と「打木赤皮甘栗かぼちゃプリン」
ミートバーガーはバンズへのバターにもハーブが、そしてソースも2種類とこだわられたバーガーでとてもジューシーで美味しかったです。プリンはいわゆるクラシックな硬めのプリン。パンプキンが強すぎるとプリンじゃないよな~と普段から思ってるので、今回のあくまでプリンなんだけどかぼちゃ要素が足されているよね、ぐらいの味わいは私としてはかなり美味しかったです!
ジビエでイノシシの串カツとシカの串カツ
最近はエゾシカばかり食べていたので久々に違う種類のシカを食べました
お米農家さんがひょんなことからたこ焼きをすることになり、結果キッチンカーもつくって営業
米粉と米油のたこ焼きはヘルシーな感じの優しいたこ焼き
ハンバーガーでも使われていた加賀野菜の1つ「へた紫なす」の漬物
酷暑で塩味も欲しかったのでその場で買ってその場で食べました
夏のナスの漬物は美味しいですよね~!!
農家さんが6次化でシロップを製造しておりそれを使ったかき氷
マルシェの〆?(笑)にまたまたぶった農産のコンカ鯖茶漬け
これまた酷暑で塩味が欲しい中、クーラーが聞いてる図書館内で食べて最高でした!

販売ブース以外も様々な企画を展開

マルシェブースは図書館の外で開催してましたが、図書館の中では様々なコラボコンテンツも実施してました。その1つは先ほど写真をあげているカフェのハンバーガーとプリン。図書館の中にあるカフェでマルシェ限定メニューとして数量限定販売をされていました。限定30個と聞いていたので絶対に食べなくては!と10時半に入店したら、ハンバーガー提供は11時からとフライングしすぎました(笑)弊社のマルシェでもキッチンカーやカフェとのコラボメニューも展開することがありますが、こういう取り組みはいいですね。
また、マルシェから一番近い建物内では加賀野菜の紹介や農業に関わる書籍の特設コーナー、マルシェを回遊してもらう為のスタンプラリーなども設置されていました。

加賀野菜の紹介コーナー
農業にまつわる書籍を集めた特設コーナー・・・マルシェの本はなかった
マルシェ会場と紹介コーナー数か所にスタンプを設置し、マルシェの方まで足を運んでもらう取り組み。出店者のブースの隅っこなどに置いてあるので必然的に出店者のブースを見たり会話したりすることにつながるナイスアイデア!

主催者インタビュー

マルシェをがっつり堪能した後は、主催されているいしかわ農業総合支援機構の担当者の方にお話を伺いました。

─ いしかわビブリオマルシェを始めた経緯を教えてください

図書館開業時に賑わい創出で農産物のマルシェをやってみないかということから始まりました。その際に、県としては地産地消を推進するという目的として始まりました。

─ 今回の出店者を見ても生産者か生産団体がほとんどでしたが、それ以外の事業者の出店というのは無いんですか?

出店料が0円というのもあって、商工関係の事業者からも出店希望はあるのですが、農林水産部として生産者支援が軸なのでそうしたのはお断りしています。開催をしてみたら、全国的に見ても生産者しか出れないマルシェは少ないのではないかと思うので、生産者に会えてお話ができる面白いマルシェになったのではないかと思ってます。消費者にとっても直接、なかなか会話する機会もないのでそうした場にもなっているのはいいことだと思います。

─ 3回目の今回、担当者としてはどうでしたか?

トータルとしては良かったなと思います。その1つとして、出店者への販売の意欲が高かったのがあります。置いておけば売れるだろうではなくどう工夫したら売れるのかをしっかりと考えて販売されていました。1日目終了後に出店者とお話をしたら、お客様の声を直接聞けてフィードバッグできるという意見もいただけたりしました。販売だけではなく勉強にもつながっていったのではないかと思います。
また、にぎわい創出という部分では図書館に来られている方がマルシェも楽しんでもらえるようにどうするかを考え、スタンプラリーをやってみましたが、出店者からもとても好評でした。立ち寄ってくれることで話ができたり、前を通過してくれることで売上につながっていきました。県産食材を知ってもらうことを目的にやっている料理教室も毎回大好評企画なのですが、今回は「加賀太きゅうり」を題材にしたのですがこれが良かったです。みなさん、名前も知っていて聞いたこともあるけど使い方が分からないという方が多いと思っていて、そうした方にこうした形で伝えられる場所があるのはいいことかなと思います。実際に料理教室の題材にした食材をマルシェの売り場でも販売をしています。

─ 当初の目的である図書館のにぎわい創出としての効果測定は何かしてるんですか?

今、それはできてないです。ただ、料理教室の参加者にはアンケートをとっていて、その中に「図書館に来たことがありますか?」という項目では、初めて来ましたという回答も多くあるので、図書館に来館してもらえるきっかけにはなっていると思います。

─ 今後のいしかわビブリオマルシェをどうしていきたいと思いますか?

名前が知られるようなマルシェになりたいです。県民の方に「ビブリオマルシェ」といえば図書館でやっているやつね、と分かってもらえるようになりたいです。図書館でやっていて、生産者がでていて、新鮮な野菜が販売されているという認識になっていけるといいですね。今週やってるなら買いに行こうと思えるような形に持っていきたいですね。個人的な想いとしてはそのためには開催頻度がもっと多くできていくと近づくのかなとも思っています。

マルシェに限らずですが、多くの方を巻き込む仕事は担当者の情熱量次第で大きく変わってしまうので、熱い想いの担当者がされていることは嬉しいですね。

いしかわビブリオマルシェの感想

1日中観察・買い物・インタビューなどいしかわビブリオマルシェを堪能してきたまとめとしては、農業支援が軸の私からしてとっても良いマルシェだなと感じました。地方でマルシェを開催すると直売所がライバルになってしまったり、安くないと売れないという場面にもぶつかることがありますが、県内含め県外からも観光要素として訪れる図書館で開催をしており、かつ住宅街も隣接している立地の為、担当者の言う通り生産者との交流を通じて農産物を楽しんで買うお客様を増やしていけるマルシェになるのではないかと私も思いました。定期開催となるかわかりませんが、個人的にはそうなってくれるのが楽しみなマルシェですね。
消費者としての目線と、同業者としての目線でも少し整理してみました。

<消費者(県外からの観光客)目線でのレビュー>

  • 石川の知らない食材と出会える場所
    地元のつくり手と会話しながら地元食材を買える・食べられるというのは地方旅行ではとても楽しい出会いになりますね。私のように農産物が変えなくても加工品などをお土産として購入していくこともできると思います。直売所の方がもちろん種類や量も多くありますが、直接会話をして納得しておすすめ商品や旬の農産物が購入できるのはありがたいです。

  • 普通の料理ではない地元食材がすぐ食べられる満足度
    カフェのへた紫なすバーガーはもちろん、ぶった農産のコンカ鯖茶漬けやジビエの串カツなど、県内食材・県内料理が気軽に楽しむことができるというのはまさに旅行の醍醐味!観光マップにのっていない食との出会いは最高ですね。
    ここの図書館はエリアが区切られていて、飲食が可能なエリア(図書が置いてないスペース)があり、暑さの中購入しても館内の涼しいところで食べられたのもとても楽でした。

<同業者(マルシェ運営者)目線でのレビュー>

  • 販売ブース以外の企画も楽しめる
    図書館の一角にある調理室を使った料理教室は毎回応募者が殺到する人気コンテンツとのことですし、図書館らしさという部分での農業書籍の特設コーナーなどもいいですね。回遊してもらうためのスタンプラリーなどもお子さんが簡単に楽しめつつマルシェを知ってもらういいきっかけになりますね。

  • オリジナルの出店者別のぼり
    テントなどの機材は現在レンタルとのことですが、各店舗に設置されたのぼりはそれぞれに店名が入っていてオリジナル感があり、いいいですね。毎週、様々な店舗が来るマルシェでは予算も準備も難しいですが。

  • 規模感はもう少しあるといいかな
    これは私が運営しているマルシェでも常に課題ではありますが、会場の広さなどを考えてもレイアウト次第でもう少し店舗数が増やすことができるので、20店舗ぐらいがあると滞留時間が伸びてそれを見た他の方がにぎわってるからとまた集まってきやすいかもですね。

  • テーブル椅子があるとにぎわいが増える
    今回は結果的に酷暑だったので不要だったかと思いますが、キッチンカーもあり飲食店舗もたくさんあるので、広場の真ん中にテーブルとイスをずらっと並べて、マルシェの中で食事をしながら団らんができる場所があればより楽しみやすいかなと思いました。汚していい本が無いとは思うので難しいですが、秋などは読書しながらマルシェ食材をたべながら時間を過ごすなどあると楽しそうですね。

通路も広くレイアウトの工夫やテーブルなどの場所も用意は可能かなと

今回石川県へ伺ったのはマルシェの視察と、生産者にマルシェ販売についての研修を行うために来ていました。2日間販売された店舗の方々と色々とお話もさせていただきました。

勝手に妄想、いしかわビブリオマルシェの未来図

勝手にこんないしかわビブリオマルシェになったら面白そう!というのも思いついたので書いていきます。

図書館×マルシェをもっと深堀

そもそものマルシェ開催の発端となった図書館のにぎわい創出としてのマルシェの位置づけをさらに深堀していくことで、図書館ならではのマルシェが生まれないだろうか。
例えば、思い付きだがこんなことなどもあるのでは。

「ビブリオマルシェ記者クラブ~地産知書ワークショップ~」
目的:本との付き合い方を読むだけではなく、書く・読んでもらうに加えて、地元の農業のことも学ぶ機会を提供
対象:小学校4年生~中学3年生
内容:1.ライターさんなどに協力してもらい、取材方法をレクチャー。
   2.出店者へそれぞれインタビュー
   3.インタビューしたことを文章にする
   4.短編雑誌のように1つの冊子をつくってみる
   5.図書館の特設コーナーに設置

「食べたくなる読み聞かせ」
目的:絵本の読み聞かせとリアルな農産物をコラボさせ、子どもたちが野菜を食べたくなる・好きになる取り組み
対象:小学生以下
内容:対象となる農産物の絵本を探す(←あるという前提)
   読み聞かせをマルシェ会場か近隣エリアで実施
   絵本の中の野菜が実際に飛び出してきて触ったりすることができる

2023年10月オープンの金沢美術工芸大学とのコラボ

図書館の道路向かい側には、金沢美術工芸大学が新キャンパスをオープンし移転してきます。同大学・大学生ともマルシェを通じた新しいことができたら面白いなと勝手に妄想しています。それこそ、美大生の卒業制作をはじめ彼らの作りあげる商品をマルシェと一緒に販売をしたり、野菜の染料をつかったものづくりなど、AgriculruteとArtのコラボなどもあったら面白いですね。さらにそこに図書館の学術的な側面要素Academicを加え、トリプルAな食文化と芸術を紡ぐ物語を生み出すマルシェが出来上がると唯一無二になるだろうな。なんて妄想を考えながら後にしました。

左側に見えてるのが芸大新キャンパス
渋滞は図書館渋滞

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