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【徒然なるままに】#12

 目の前の画面が暗くなった。それは練習、リハーサルも通じて初めての動きだった。
 iPadを導入しての野外での本番の1曲目、フットスイッチで譜めくりをすると、現れたのは楽譜2ページ目ではなく、電源が落ちたのかと思うほどの真っ黒な画面だった。そういうことが起きるのか、本番で……、と思いながら演奏を続け、同時にフットスイッチをまた押してみる。ちなみに演奏しているのはアップテンポの楽曲だ。次に現れたのはバグのように見える楽譜の断片。どうやら電源が落ちたわけではないようだ。引き続き演奏しながら、今度は手でしばらくページをスライドさせていると、譜面が表れた。どうやら元に戻ったようだ。その日は2回演奏をすることになっていた現場だったが、初回はフットスイッチを使うのをやめた。
 楽屋で検証したが、どうやら原因は、いつもよりもフットスイッチを長押ししていたことにあるようだ。
 寒い中で演奏したので誤作動した可能性も考えたが、どうもそうではないようだ。ただ、他にもやや気になることがでてきたので、今後もチェックは必要だと思った。
 チェックしたので、2回目の演奏では問題なくフットスイッチで譜めくりできた。今回は食を伝えるイベントでの演奏だったので、周りに飲食関係のお店が沢山あった。1回目は気にならなかったのだが、2回目のころには、お店の機械がおそらくフル稼働した時間帯だったらしく、低音でドローンが流れている状態だった。二度目ということもありサウンドチェックをせずにステージに上がって演奏すると、サステインペダルが効かないように聴こえた。それを音響さんに伝えたが、耳が慣れてくると、実はサステインは効いていることが段々わかってきた。低音がずっと流れているので弾いた音が途切れるように聴こえてしまったのだ。
 今回のような現場では環境は刻一刻と変わるので、必ずサウンドチェックは申し出なければならないと心の中で自戒した。音響スタッフの方には、後でそのままのことを伝えお詫びした。
 寒さ対策で茶化されるのはいつものことだが、とても寒かったので、結局全員完全防備で演奏したのだった。自分はダウンコートで演奏したので、まるでアラスカに来たかのような、というようにMCでいじられたわけだが、まあ、それも通常運転である。
 ちなみに、モスクワに仕事で何度か行ったことがあるが、どちらが寒いか、ということで言えば、東京の方が寒く感じる。ただ、真冬のモスクワの野外で演奏したことはないし、それはできれば遠慮したいところである。
#日記 #ブログ更新 #野外 #譜めくり

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