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バルトーク・ベーラ 【徒然なるままに #120】

日本と同じで、ハンガリーでは姓・名の順なので、バルトーク・ベーラとなります。

バルトークの音楽は元々好きで、作品を自演する音源なども同級生が持っていたので学生時代に触れることができた。彼が同じく作曲家のコダーイとともに民謡の採集・研究に取り組み、そのために自ら様々な土地を巡っていたことや、その後アメリカに渡ったことは知っていた。ただ、それほど詳しくは知らなかった。また『民謡採集』という言葉にもなんとなく憧れを持ってはいたが、音の録音にはろう管が使われたのだろう、というぐらいの漠然とした知識しかなく、実際どのように行っていたかは知らなかった。

そんなわけで、最初に手に取るには良いだろうと思って読み始めたのが『音楽家の伝記 はじめに読む1冊 バルトーク』だった。1989年に出版されたものを増補改訂して改めて2022年春に発売された本だ。字が大きくて、内容もとても読みやすいものになっていて、しかも充実している。
ハンガリーという国が歴史的にどれだけ近隣諸国に振り回されてきたのか、ということもこれまでほとんど知らなかった。なぜファシズム側に加担することになるのか、ということも本書を読むとよくわかる。
バルトークの音楽採集はその歴史背景とは切っても切れない関係がある。先人たちが世間に誤解させてしまった「ハンガリー」本来の音楽を知るために、また新しい音楽を模索するために、彼は『都市』が忘れていた音楽を『地方』に探しに行ったのだった。そして彼は本当に自分の国のことを考えていた。愛国、という言葉を普段自分はほとんど使うことがないが、彼は本当の意味で愛国者だった。彼がアメリカに渡ったのはコダーイがハンガリーが残ったのとは対照的だが、それぞれ違った形での愛国心の示し方だったのだろう。
この本の帯にある「あらゆる民族が、歌で結ばれ兄弟となる」という意味がどういったものなのか、是非沢山の方々に読んでいただければと思う。

『音楽家の伝記 はじめに読む1冊 バルトーク』

バルトークの画像はウィキペディアのものを借用させていただきました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%A9

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