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(1) 一本指で即興、アンビエント・ピアノのススメ

即興演奏に対するイメージは人それぞれだと思いますが、たまには既存の楽曲ではなく、自分で自由にピアノを弾いてみたい、もしかしたらそんな方もいらっしゃるかもしれません。
でも、いざやろうとするとどうしたら良いかわからない。コード進行とかを勉強しないといけないのだろうか……、などなど。
勉強、といいますか、本やネットで調べて知識を得るのはもちろん良いかと思いますが、調べているうちに疲れてや〜めた、なんてこともあるのではないでしょうか。

誰かに聴かせるでもなく、自分一人、ゆったりと音の響きを楽しむ、というのはいかがでしょうか。今回ここでご紹介します即興演奏の方法はいたって簡単です。片手の一本の指のみで演奏できます(グランドピアノでもアップライトピアノでも電子ピアノでもピアノなら何でも構いませんが、ここではサステイン・ペダルを使う前提で書かせていただきます)。

コード(和音)が複雑に進行していくといったものではなく、段々と重なっていく音の響きを楽しむような、言ってみればアンビエント・ミュージックを彷彿とさせるような、そんな即興演奏を今回ご紹介いたします。
今回アンビエントピアノと銘打ったのはそのためです。

まずは、この動画をご覧いただければと思います。

ご覧の通り、この動画では鍵盤の黒鍵しか弾いていません。
黒鍵のみを弾く曲として「ネコふんじゃった」が有名ですが(と、書きましたが、最近はどうなんでしょう)、黒鍵のみを全て弾きますと、ある音階になります。日本でも親しみがありますが、世界の各地の民謡にも使われ、あるいはポップスやロックでもよく聴かれる音階、ペンタトニック・スケール(五音音階)です。
ヨナ抜き音階ともいいますが、ヨナは数字の4と7を表します。ドレミファソラシドで言いますと、ドを1とした時、4番目のファと7番目のシを抜いたときにドレミソラ(ド)という五音の音階が出来上がるというわけです。
この動画で言いますと、ファのシャープ(♯)を1番目の音(ソのフラット(♭)でもありますが)と考えたときに、ファ♯、ソ♯、ラ♯シ、ド♯、レ♯、ミ♯、ファ♯のシとミ♯を抜いた五音音階(ペンタトニック)となります。つまり黒鍵のみということとなります。

日本の箏(こと)の音楽では良く多様されるペンタトニックですが、箏という楽器は、絃を弾いて鳴らされたその音は伸びたままです(もちろん減衰はしていきますが)。演奏をするとそれらの音が重なっていくわけですが、ペンタトニック・スケールで作られた楽曲は重なっても違和感なく聴けます。簡単に説明しますと五音で構成されたこの音群が一つの和音として聴くこともできるからです。例えばドレミソラと同時にならすと、コードネームでいえばC6(add9)と呼ぶことができます(6がラ、9がレを表します。この場合のレは2番目の音ではなく、2番目のレのオクターブ上、ドレミファソラシドレと考えた場合、最後の9番目のレを表します)。
ちなみにこの動画で言えばファ♯、ソ♯、ラ♯、ド♯、レ#という構成音はF♯6(add9)です……、と、ここまで書きましたが、和音云々はあくまで一例ですので、一旦忘れていただければと思います。
つまり、この音階では重ねることを気にせず自由に奏でられるということです。
重ねられるということはどういうことかと言いますとピアノのサステインペダルを踏んだままでも演奏ができるということになります。例えば箏のように、ということです。
ただ、あまり低いところですと、音が濁ってしまいます。濁るのが好きな方はもちろん構いませんが、例えば低いところでも、一音弾いて、その音が減衰してから次の1音を弾く場合はもちろん濁りません。

次の動画はもう少し音数を増やしたものです。

音数が増えますと意外と一本の指だけで弾く方が難しいような気もしました(笑)
どの指を使っても構いませんが、ペダルを踏みながら黒鍵を弾けば、音楽を奏でられるということです。
次は、他の指も使って演奏してみます。

極論、指でなくても何かで押せれば良いのですが、黒鍵を鳴らせば音楽を奏でられる、ということをやってきました。
ここまでは黒鍵を使って演奏してきましたが、先程も書きました通り、五音音階であればペダルを踏んだまま演奏ができます。ですので、黒鍵ではなく、例えばドレミソラという白鍵を使っても演奏することができるわけです。
最初は人差し指で、その後、他の指も使って演奏してみます。

いかがでしょうか。
人に聴かせるでもなく、ゆっくりと自分で弾いた音の響きに耳を傾けながら、ゆったりとした心持ちで即興演奏を楽しんでいただければ幸いです。

最後におまけですが、タモリさんが笑っていいともで面白いことをやっていたのでご紹介いたします。YouTubeに他の方がアップされた動画です。

ピアニストのキース・ジャレットさんを彷彿とさせて思わず笑ってしまいましたが、特筆すべきは、サステイン・ペダルを踏みっぱなしで演奏している、ということです。
白鍵を弾いているわけですが、これはモード・ジャズにも繋がる演奏です。
この辺りの話はまた次回の即興アンビエント・ピアノの話で書きたいと思います。

今月、6月26日に神楽坂グリーさんのグランドピアノを演奏するオンラインライブを行います。即興演奏多めの内容となると思いますので、よろしかったらご覧ください(ツイキャスでの生配信です)。

これまでにリリースしているアルバムはこちらです。

XやInstagramもやっています。たまに動画も載せますのでよろしかったらご覧ください。
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また、warp jamというジャンルレスのピアノトリオもやっています。
ご興味持っていただければ幸いです。
warp jam 1st Album「Farewell for Today」(Amazon)

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