松永 和紀

科学ジャーナリスト。主に食品・農業分野で、安全性や環境影響、生産技術などを取材していま…

松永 和紀

科学ジャーナリスト。主に食品・農業分野で、安全性や環境影響、生産技術などを取材しています。 取材や講演依頼等は、 wakimatsu1218アットマークgmail.comにメールください。

最近の記事

農薬アブシシン酸、アフィドピロペン等について検討しました〜第834回食品安全委員会

10月5日に開かれた第834回食品安全委員会は、添加物や農薬等についてさまざまな審議を行いました。概要は公式ブログをどうぞ。 この中から、農薬アブシシン酸と農薬アフィドピロペンについて紹介します。 食品安全委員会(食安委)がアブシシン酸については食品健康影響評価(案)をまとめ、10月6日からパブリックコメントを実施中です。一方、アフィドピロペンの評価は、パブリックコメントを行いません。なぜ、このような違いが出るのかも含め、解説します。 ぶどうの色づきをよくするアブシシン酸

    • 食品安全委員会 活動報告を始めます

      私はジャーナリストとして、農薬や食品添加物、ゲノム編集食品、遺伝子組換え食品等について記事を執筆したり講演したりしています。 一方で、2021年7月から内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)を務めています。 食品安全委員会は、農水省や厚労省などから食品に関するさまざまな「健康影響評価」の依頼を受けて、緻密に検討し評価を重ねています。食の安全を守る「リスクアナリシス」の重要な一翼を担っているのです。また、依頼がなくても必要であれば自ら評価を行うことも

      • 拝啓 大学入試センター様、 共通テストに科学リテラシーはありますか?

         1月16日、17日に「大学入学共通テスト」が行われました。ご苦労様です。鼻出しマスク問題対応、約50万人の受験生の採点、事務処理など、お忙しい日々をお過ごしのことと思います。しかしながら、大変恐縮ではありますが、英語のリーディング問題を読んで、私は科学リテラシーの観点から大きな疑問を抱きましたので、ここにお伝えいたします。  甘味料に関して科学的根拠の薄い、不安を煽る言説が主張された文章が“栄養に関する教科書の一節”として示され、出題されているのです。英語科目ではありま

        • 輸入レモンはイヤですか?

          輸入柑橘類に使う防かび剤の話は、農薬や添加物批判をしたい人たちの定番です。1970年代に消費者団体などによって不買運動が展開されましたし、とくにレモンは、写真のさわやかさ、スライスして紅茶に入れて飲むと言われて思い浮かべるほっとする光景と、防かび剤というちょっと怖そうな言葉のコントラストがはっきりしていて、好まれる題材ですね。 で、この記事のなにが問題か、というと、「残ってはいけない」「食べてはいけない」にとどまっていて、その先がないこと。 防かび剤は輸入農産物において収

        農薬アブシシン酸、アフィドピロペン等について検討しました〜第834回食品安全委員会

          また食の安全に関するデマ情報がネットに増えているような気がする件について

          なんだか最近、また目立ち始めたと思いませんか? これまでさんざん否定されてきた話を持ち出して、ことさらに「添加物が危ない」「輸入食品は残留だらけ」などと不安を煽る情報が。 それが儲けにつながる人たちがやっている、と思える。でも、いずれにせよ古いんです。トリックが。 なので、トリックをかいつまんで解説し、根拠となるたしかな情報にリンクする短いコンテンツをここで提供しようと思います。どこかのメディアに寄稿するほどでもないけれど、やっぱり多くの人にはきちんとお伝えしたいことを

          また食の安全に関するデマ情報がネットに増えているような気がする件について