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Wake Up Pointe Shoesってだーれ

歌恋と碧の関係性

私たち歌恋と碧は小・中・高の同級生です。中高時代はダンス部に所属し、2人ともバレエ経験があるため、公演ではバレエ系の振りでいつも一緒。ツルツルの床で滑りながら練習していました笑 体育館での練習は特に環境が悪く、持って行っていたバレエシューズはすぐに汚くなることも珍しく無い。また2人ともライト(照明係)に所属していて、1年生の頃から舞台照明を触らせてもらっていました。素敵な先輩と後輩に囲まれ、ときには衝突しながらも、充実した部活生活を送っていました。

Wake Up Pointe Shoesの始まり

Jacobs Teen Innovation Challenge

高校2年生の秋、アメリカのサンディエゴ大学が運営する「Pactful」が主催する「2021 Jacobs Teen Innovation Challenge」の案内が学年共通のホワイトボードに張り出されました。
当時から非常に社会問題に興味関心が強かった歌恋や碧は、模擬国連にちょこっと参加したり、歌恋は学校内で「国際問題研究会」を立ち上げたり、碧はNGOに入ろうとしたりしていました。そんなこんなで、2人ともこのコンペティションに参加することにします。
最初のミーティング。座った場所で決められた非常に適当なグループで、チームが決められました。これが運命だったのか。半年後、私たちは見事入賞を果たすのです。自分たちの身近な共通点と社会問題を繋げよう、というJacobsの指針で、碧と歌恋を含む4人のチーム「Wabisabi」は「バレエ」に辿り着きます。バレエと社会問題。碧の興味が「環境」に傾いていたこともあり、ダンサーにとって必須の仕事道具であるバレエシューズ(トゥシューズ)が大量に履き潰され、廃棄されている問題に目をつけました。大量消費・廃棄ではなく、トゥシューズを用いた循環型経済を作れないか。そうして私たちの「Wake Up, Pointe Shoes!」の活動は始まります。

名前の由来

私たちはプロジェクトの名前をWake Up Pointe Shoesとしました。 この “Wake Up”はバレエ「眠れる森の美女(Sleeping Beauty)」の主人公オーロラ姫が長い眠りから目が覚める様子から名付けています。
 1832年にマリー・タリオーニが「ラ・シルフィード」で初めてつま先で踊る姿を見せてから、トゥシューズは進化を重ね、現在のサテン生地・皮・プラスチックなどから成る姿になりました。世界中のダンサーがこの靴を履いて踊ります。いつの間にか大量生産・消費の社会システムの中に組み込まれてしまったバレエ製品を、少しでも循環型にすることはできないか。私たちの活動によって、約200年間手のつけられていなかったフィールドの目を覚まそう、と考えたのです。

Jacobsの活動で得た知見〜活動の過程と学んだこと〜

具体的な活動

  • 大手バレエ製品会社への2度の訪問

  • バレエ団への訪問

  • ダンサー150名へのインタビュー

  • トウシューズの解剖実証実験

Jacobs Teen Innovation Challengeで活動を続ける中、大手のバレエ製品会社に使い古したトゥシューズを再利用した商品案を提案させていただいたり、リサイクルショップ、日本のバレエ団、プロフェッショナルの日本人バレエダンサーに直接インタビューさせていただいたりしました。
大手バレエ製品会社ではサステナブルなトゥシューズ生産への取り組みとして、既に再生可能な生地を用いた商品開発が進められていること、また環境問題のみならず動物倫理の観点からも、この開発に力を入れていることを教えていただきました。プロ日本人バレエダンサーのみなさまへのインタビューでは、トゥシューズがなるべく長持ちするように、画材用のニスを流し込んだり、縫いつけたリボンを外して再利用したり、長持ちする素材で作られたシューズを買うなど経済的観点からも「長く使う」ことを心がけていらっしゃることを学びました。

多くのみなさまのご協力を経て考え直したことは、バレエ界にはもっと深く考えなければならない課題が山積していることです。Jacobsでは「環境」の観点からバレエを見つめ直すことに取り組んでいました。しかし、そもそも日本の中でバレエダンサーとして生きていくためには専業では厳しい現状があります。西洋諸国と比較すると、「文化」としての浸透具合も非常に乏しいです。そういった問題意識を持ちながら、歌恋も碧も大学受験の準備へと入りました。

受賞


Jacobs Teen Innovation Challenge 2022

2022年5月、普段通りの高校の休み時間、私たちのチームの担当の先生から、「あなたたち、入賞したわよ!」と嬉しいご一報を頂きました。私たちは、今回のJacobsのプロジェクトで、「賞をとる」ことはあまり目的にしておらず、ただただ自分達が大好きなバレエについて知ることを楽しんで活動していました。だからこそ、「11カ国以上から参加した中高生約2500名の中で世界2位をとった」という事実が最初は信じられず、心から驚きました。






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