このチューブ、、、
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少し怖めの知り合いの家に遊びに行った時
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(部屋の中、漫画だらけ。見た目怖くても心は少年なんだね)
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と幾分心も和み、小さな犬と戯れていると、その人がシャワーを浴びて部屋に戻ってきた。
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(身体中の刺青もさることながら、この筋肉質な身体は何をどうやればこんな身体になるのだろう、、、)
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と不思議に思った。
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さっき二人で居酒屋で飲んだ際に肉野菜炒めが運ばれてきたが、その人が箸でひとすくいしただけで、皿の上の食べ物がほぼなくなっていた。ニラだけが端っこのほうに申し訳なさそうに、チョコンと残っていた。なんか、箸の大きさまで違うような気がしてきた。
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ぼくはその端っこのニラを、これまた申し訳なさそうにモグモグ食べた。
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食べる物の違いなのか?
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「コンビニに行ったら一回でどのくらい買います?」
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「だいたい3000円くらいかな。からあげとかスナック菓子買って飲み物買ったらそのくらいいくだろ、金かかってしょーがねーよ」
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(いかない、そんなに買わない。ぼくは煙草を抜いたらだいたい300円くらいしか買わない)
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それにしても、筋肉質。食べたらおいしくなさそうだな。鍛えてないって言ってるけど、コレ絶対鍛えてるでしょ。
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ん?
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部屋の隅に無造作に置かれた自転車のチューブ発見。ははーん!これだな。これで鍛えているんだな。
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ついに謎を解き明かしたとばかりにぼくは嬉々として
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「これですか!!これで鍛えてるんですか?これを引っ張ってこうやって?」
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「、、、、、、それは、彼女が寝る時に身体に巻くやつだよ。痩せるからって」
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「、、、、、へー」
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そっとタイヤのチューブを置いたものの
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(クッ、笑いたい!!!こ、これを身体に巻いて寝る?やばい、笑ってしまいそうだ。想像するな、想像するな。身体にタイヤのチューブをぐるぐる巻いて?クッ耐えろ、おれ)
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後ろ向きになり、下唇を噛みながら、必死に笑うのを堪えた夜だった。
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