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ミッドサマーはセラピー映画?

《結末に触れるネタバレあります》

ミッドサマー、いろんな解釈できるんだろうけどシンプルにカルト宗教が外部の人間を勧誘して入信させるまでの過程を見せる注意喚起ムービーとして優秀なのでは…?

ダニーのように本当の自分を理解してくれる存在や心の隙間を埋めてくれる存在を自分以外の他者に求め過ぎると、そういう心の弱い部分につけこまれて都合よくコントロールされてしまう危険性もあるという話。

冷静に考えると、そんな村からは一刻も早く逃げたほうがいいというシーンが延々と続くんだけど(笑)結局ダニーはラストで恋人が殺されるのを見て幸福を感じるくらいカルトの教義に完オチしてしまうという…。
生きたまま焼かれる生贄に同調して泣き叫ぶホルガの住人とは逆に微笑んでるから、完オチというわけでもないのかな?
いずれにしても、多分その後もあのコミュニティで生活を続けて、自分自身もスカウトとして外部の人間を勧誘してくる立場になるんでしょうね。

でも、あの結末を見てハッピーエンドとか癒しとかセラピー映画とかいう感想を抱いてしまう観客側にも、同じような状況になったら同じような結末に追い込まれてしまう可能性はあって…
自分自身も映画を観ている最中、過剰な共感や同調を示すホルガの住人や儀式に典型的なカルトのイメージが重なって笑いを堪えられなかったんだけど、ダニーがラストに見せる微笑みに何とも言えない爽快感を感じてしまったのは事実。
今まではカルト宗教やマルチ商法には絶対に引っかからない自信があったけど(笑)それも時と場合によっては危ういなと…

周りに流されて選択したことや誰かに上手いこと誘導されて選択したことを、さも自分の意思で選びとったと思い込んでるパターンは現実の世界でも意外と多いのかもしれない。

そういう教訓めいた話では全くないのかもしれないし(笑)序盤から不穏な空気が全開の良作ではあるんだけど、個人的にミッドサマーには監督の前作ヘレディタリーを超える何かを残念ながら感じられなかった…
本来ここはもっと衝撃を受けるべきシーンなんだろうなというところで、ことごとくヘレディタリーの影がちらつく二番煎じ的な演出に何となく冷静になってしまう連続。期待外れとは言わないけど完全に予想の範囲内のまま終わってしまった感。
ホルガの村に行く前の、ダニー周辺の修復不可能な気まずい人間関係を見せられるシーンが自分の中ではピークでした(笑)
ヘレディタリーが陰でミッドサマーが陽という2部作ということなら理解できなくもないけど、何にしても次作に期待です。

#映画 #映画レビュー #ミッドサマー #ヘレディタリー #アリアスター #ホラー

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