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サギソウ

 かわいらしい花を思いがけず目にした。鑑賞用の鉢に植えられた小さな花。遠い昔、小学生だった頃、その花が庭先に咲いていたのを、ふと思い出した。「きれいだろう、シラサギが飛んでいるみたいで」と当時父親に教えてもらった。今でもその花の美しさ、その言葉を鮮明に覚えている。
 今、わが家の周りには、田んぼや用水路も多く、餌を求めてシラサギが訪れているのを時折見かける。人影に気付くと、サギは大空に悠々と羽ばたいてゆく。美しく羽をのばした姿。それは子どもの頃に見た、風に揺れるその花びらと重なっている。
 偶然目にしたこの花は、少し見ごろが過ぎていたようで、花びらが茶色くなっていた。持ち主に無理をいって、咲き終わりの株を分けてもらえるようお願いしたら快く応じてくれた。丁寧に育てれば、きれいな花を来年は見られるかもしれない。そう思うとワクワクした気分になった。
 縁あって去年から花育活動を始めている。秋に採ったヒマワリの種からは、今年も大輪の花を庭先で育てることができた。今度は株分けしたこの花の球根部分を越冬させ、来春までに新しい球根を育ててみよう。そして次の夏には、ほの白い可憐な花を咲かせてみたい。

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