見出し画像

クイーンニーナ

 クイーンニーナという品種のブドウに出会ったのは、5年ほど前のこと。「いい香りがして、うまいんだよ」と生産者が太鼓判を押します。一口いただいてみると、ほっぺが落ちそうな感じです。珍しさもあり、その名前と味をすぐに覚えることができました。
 仕事の関係で、彼のブドウ畑に足を運ぶ機会がありました。空色のヘルメットをかぶり作業に励み、下草を生やさないよう、丁寧に圃場を管理しているのがとても印象的でした。接ぎ木のこと、種を除くジベレリン処理のこと、そして摘粒のこと。いくつもの行程を熱心に教えてくれました。丹精して栽培している様子が、言葉の端々から伝わってきます。
 クイーンニーナの名前の由来は、安芸クイーンを親に持ち、スペイン語で女の子を意味する「ニーニャ」にちなんでのようです。目を細めて瑞々しい房の成長を見守る生産者の姿。きっと子どもたちを育てるのと同じように、大切にしているに違いありません。
 ふるさと納税の返礼品で注文したクイーンニーナが、今年もわが家に届きました。皮をむき、大きな果粒をほおばると、芳醇な甘みが口の中いっぱいに広がります。愛情の詰まったその香り。この果実、おすすめです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?