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プロットを作ると、小説が迷子にならないよ。

プロットって何ですか?

 プロットは小説の企画書です。小説の設計図でもあります。はじめに設計図を引いておくと、小説が迷子になりません。
 作家になったら企画書山ほど書かなくてはならないので、アマチュアのうちから企画書を書くようにしましょう。

小説の仕事は、プロットを編集者に提出するところからはじまります。

 企画の段階で編集者から「いまどき学園異能なんて売れないからボツ」「もっと転のところを盛り上げられませんか?」みたいなアドバイスを受けて、書き直したり新しいものを出したりします。

 編集者がOKを出しても企画会議でダメが出たり、企画会議をクリアしても偉い人チェックで不採用になる場合もあります(社によっていろいろです)

 私ははじめ、企画書の書き方がわかりませんでした。編集者から「プロット出してください」と言われても、「プロットって何ですか?」状態。

 当時はネットで検索してもプロットが出て来ず、とても困りました。

企画書の書き方

タイトル

四行ほどのあらすじ

登場人物紹介

類書や対象読者など

章立てにしたあらすじ

をコンパクトにまとめます。

A4で3枚ぐらいが理想ですね。

動画でも紹介しています。動画とnoteと一緒に見て頂けると理解が深まると思います。


後で見ようかなという方は チャンネル登録しておくと便利ですよ。

https://www.youtube.com/channel/UCMPxcLSOjZnM9P5w7CYB7yQ?sub_confirmation=1

企画書の見本

ボツ企画書を載せますね。いくつか出した中でいちばんいいやつを選んでもらって、これは次点でした。

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タイトル:照れ照れ魔王の嫁は、デレ下手の女勇者でした。

あらすじ:魔王討伐に単身でやってきた女勇者を好きになった魔王は、女勇者を嫁にします。女勇者も、魔王の意外な優しさに触れて惹かれてラブラブになります。女勇者はお姫様で継母に疎まれて捨て駒にされていました。お城では、女勇者は魔王の嫁になったと噂され、廃嫡にされていました。一方魔王のほうにも、魔王同士の問題がありました。魔王討伐なんて愚挙に出たのも、他の魔王が悪さをしたせいでした。魔王は、魔王どうしのトラブルを納め、勇者のほうも弟に国を頼むとお願いし、二人だけの生活に戻ります。

類書:「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」「魔法使いの嫁」

登場人物
魔王、オーギュスト、圧倒的な魔力を持つ魔王。頭部が骸骨です(二枚目の青年のほうがいいでしょうか)。オーギュストは、嫁の機嫌を取りたくて右往左往します。見た目年齢は若いですが、実年齢は500歳ぐらい。山の中の廃城に住んでいます。長く生きることに飽きていて、自分を殺すことのできる勇者を育成しようとします。テレ屋です。

勇者、リーゼロッテ・コーンウォール。20歳。コーンウォール王国第一王女で、王位継承権第一だが、実母が7歳のときに死に、義母(王妃)に疎まれているため、女騎士として育てられて武芸を身に付けている。王宮ではなく離宮に住んでいる。王妃がメイドをつけてくれないため、自分のことは自分でしなくてはならず、家事万能になった。訓練に明け暮れていたため、男言葉で話し、セクシーさはなく、デレ下手。魔王を嫌い、冷たい瞳でにらみ付ける。

義母(王妃)、ダルシィ・コーンウォール。40歳。色気美人。いじわる女。自分の息子のアランを王位につけたいため、リーゼロッテを廃嫡にしようとがんばる。

弟、アラン・コーンウォール。リーゼロッテの腹違いの弟。14歳。リーゼロッテを姉上と慕う。頭が良く、優しい性格。王者の器をしている。
※父王は死んでいますが、文官が優秀で政治はちゃんとできています。
王妃は政治に興味がなく、贅沢をすることと、息子を王位につけることだけに感心を持っています。

※魔王たちは大陸に10人いて、それぞれに領土を持ち、お互いに干渉しないようにしています。ですが、隣の領土の魔王ダリューンの寿命が尽きようとしていて、街道を行く人間を捕らえて生気を吸うことを繰り返していました。そのため、リーゼロッテがオーギュストを討伐しようとしたのでした。

プロローグ
魔王討伐に単身でやってきた女勇者。「うるさい」魔王は衝撃派を放ち、勇者を瞬殺します。「おお、勇者よ。死んでしまうとは情けない」とあざけるのですが、死にかけてなお自分をにらみ付けてくる女勇者にきゅんと来てしまいました。今までの勇者は、圧倒的な力の差に打ちのめされ、みっともなく命乞いをしていたからです。
「治癒魔法は苦手だから、治るかどうかわからんぞ」と自分の生命力を分け与えて、治癒魔法を施します。勇者は「殺せ」と言いますが、「私を倒したいのだろう。死んだら倒すこともできないぞ」
城の外から火矢を射られてしまいます。
勇者を捨て駒にして、勇者ごと魔王を殺す作戦でした。勇者は第一王女ですが、義母に疎まれています。魔王は、指を鳴らしてスライムを呼び出して火を沈めてしまいます。「肉が食いたいだろう。行け」兵士たちが肉食スライムにつかまります。治癒魔法のせいで動けない女勇者は、「私の国民たちを襲わないで。殺すなら私を殺して。私でできることなら、どんなことでもするから」と魔王に頼んでしまいます。
「我がものになれ。勇者よ」「嫁になれというのか?」「そうだっ。嫁だ」「承知した。だが、我が国の民に悪さをしないことが条件だ」「いいだろう」兵士たちがとまどっています。「だが私はオマエを倒す!」

第一章
リーゼロッテが目を覚ますと、そこは廃城のベッドでした。オーギュストが自分のベッドを提供してくれたようです。
オーギュストはいません。リーゼロッテは掃除と洗濯をはじめ、弓矢でウサギを射て食べらえる野草を収穫してシチューを作ります(野営訓練も受けている)。
オーギュストは、嫁を喜ばせるべく花を摘んで帰ったのですが、「その花は不味い。どうせなら、食える草を摘んできてくれ」と言われてしまいます。リーゼロッテは女騎士として育てられてきたから、女性的なことが苦手です。
一緒にご飯を食べ、オーギュストは「美味い」。食事なんて50年ぶりだ。なんて幸せなんだ。オーギュストはジーンとしますが、「私をどうするつもりだ? 拷問に掛けて楽しむのか?」とリーゼロッテに聞かれ「長く生きることに飽きたからな」とにやり。リーゼロッテが息を呑んでいます。
わー。この笑い方、怖いんじゃないのか?とひとりツッコミしておろおろ。
「早く強くなって私を倒してくれ」修復したロングソードをリーゼロッテに渡します。
指を鳴らしてオークを呼び出し、「戦え」と言います。
オーギュストは保護者目線になっています。若くて未熟な娘が、一生懸命にがんばっている様子を見るとキュンキュン来て、手助けをしてあげたくなるのです。
教育者よろしく「ムダな動きが多い。逆袈裟から持ち替えて上段だ。やってみろ。ほら、左側のオークが襲ってくるぞ。横凪ぎに払え」リーゼロッテの胸で揺れるネックレスは王家の紋章が刻印されています。「リーゼロッテ、君は王家の人間なのか?」「それがどうした?」
オーギュストはとまどい、指を鳴らしてオークを消してしまいます。勇者が襲ってきたとき、兵士たちは、リーゼロッテごと殺そうとしていた。
まるで捨て駒みたいに扱われるなんて、この姫には何か事情があるな。オークを十体ばかりも屠ったリーゼロッテは、剣を杖がわりにして、膝をついてはぁはぁしています。汗臭いな。風呂に入っておけ。
てっきり凌辱されるのだと思っていたリーゼロッテは、お風呂に入ってきょとんとしています。魔王は、オークと戦わせただけで、乱暴狼藉しない。「我が嫁になれ」なにこれ。新婚生活なの? あの花は食料じゃなくて、男が花をくれる意味って。盛大に照れまくります。お風呂から出たあと、もらった花をとりあえずコップに生けておきました。
オーギュストは魔法鏡で、王宮を見て事情を知りました。義母のダルシィが、リーゼロッテが魔王の嫁になったと聞いて、勝ち誇った様子で笑っています。「やったわ。私の子が王位継承者よ」「哀れな姫だ。継母に疎んじられ、殺されかけたのだな。かわいそうに」オーギュストは、城にめくらまし魔法を掛けます。リーゼロッテを守るためでした。

第二章
オーギュストは、魔王仲間のダリューンに逢いにいきました。お見舞いです。
嫁を貰ったんだが、嫁を喜ばせるためには、どうしたらいいだろう? 宝石だな。あと、それから笑え。オマエは仏頂面で、嫁が怖がるぞ。
ゴブリンを使役して、宝石を取らせ、革袋にいれさせます。
リーゼロッテが淹れてくれたハーブティを飲みながら、ハイオークと戦うリーゼロッテを見ます。「そんなことでは私は倒せんぞ」
リーゼロッテはめきめきと腕を上げて、ついにハイオークを殺してしまいました。
「褒美だ。手を出せ」革袋に入った宝石(裸石)をプレゼントします。
「綺麗だな。ありがとう」オーギュストはじーんとします。「嫁がありがとうと言った!」ご飯はおいしいし、掃除も洗濯もしてもらえるし、最高です。調味料がないので、岩塩で味付けしただけのシンプルな料理ですが、「こんな美味いものはじめて食べた」と感激して、がんばって笑おうとします。
リーゼロッテは、今まで、自分で料理を作って、自分で食べていました。美味しいと言って食べて貰えることは、こんなに幸せなことだったのだな。
リーゼロッテは笑います。「嫁が笑った!」尊い! 嫁が何をしてもかわいい!  オーギュストが幸せを噛みしめていたとき、背中をナイフで切られ、水晶を傷口に押しつけられてしまいます(リーゼロッテがやった)
コップに刺してあった花が枯れて落ちます(オーギュストが生命力で花の持ちを良くしていた)
水晶は魔除け石で、オーギュストの背中はひどい火傷になります。オーギュストは、悲しい顔をします。「そうだ。俺を倒せ。リーゼロッテは勇者なのだから」
リーゼロッテは、「オマエは敵だ。私はオマエを倒すために、この城に滞在しているのだ」と言いながらも、罪悪感に駆られます。
その頃、お城では、アラン王子に王位継承させたいのに帝笏がないと騒いでいます。義母のダルシィ王妃は、「リーゼロッテを捕縛して、拷問に掛けて帝笏のありかを聞きだすしかないわね」と考えます。

第三章
リーゼロッテは、鳥の卵と蜂蜜とパンの実(芋みたいな果物です)を収穫し、蜂蜜ケーキを作ります。「毒は入ってないぞ。食え」とメモを書いて置き、自分の家である離宮に戻ります(いままで魔王城から外に出ることはできなかったのに、そのときだけなぜか出ることができた←水晶の矢で、オーギュストが弱っていて、目くらまし魔法がゆるんでいた)着の身着のままなので離宮に戻ってドレスを取ってきたい。(オーギュストの男物のシャツを着ています)。チーズや牛乳、香辛料を買って、オーギュストにもっとおいしいものを食べさせてやろうと思ったのです。お金はありませんが、オーギュストから貰った宝石で買い物するつもりでした。
ところは離宮は、釘付けされて入れません。
城下では噂になっていました。「リーゼロッテ姫、魔王にたぶらかされたんだって。廃嫡にされたそうだよ。魔王は街道で人間を襲って生気を吸う、汚い野郎なんだろ? 昨日も、襲われたそうだよ」
廃嫡? 私のしたことは何だったの? 私は王女でさえなくなってしまったの? 一生懸命に剣の腕を磨いたけど、オーギュストにはかなわない。勝つビジョンがぜんぜん見えない。私は国民を守りたいと思った。国民を襲わない約束でオーギュストの嫁になったのに、彼は人間を襲って生気を吸っている。
魔王城にも、離宮にも、もちろん王宮にも戻れない。
リーゼロッテは道ばたに座り込み、雨に打たれて、熱を出してしまいます。
オーギュストがリーゼロッテを抱いて魔王城に戻りました。
「私の民を殺すな。生気を奪え。私を殺せ」
逆に生気を与えられて、治癒魔法を施されました。「人間の生気なんて奪わなくても、私は山にいるだけで生気を蓄えられるのだ。500年も生きて、生きることに飽きたがな」だったら街道の人間を襲い、生気を奪っているのは誰だ? 私はそんなことしていない。だが、思い当たるフシはある。
討伐隊がやってきます。水晶で火傷をして弱っているオーギュストは、魔王城の周辺にかけた目くらまし魔法が緩んでしまっていたのです。
オーギュストは、リーゼロッテが悲しむだろうと考え、兵たちに手を出さず防御するだけ。水晶の首輪を填められて、ひどい火傷を負い、魔力を封じられてしまいます。
「私の夫に何をする!」リーゼロッテは叫びます。夫って言われた! オーギュストはうれしさのあまりじたばたします。
将が言います。「姫様、あなたは魔王の嫁。人ではない」将はかつての師ですが、義母ダルシィの命令で、リーゼロッテを陥れるように言われています。
決闘になります。「私が勝ったら、私たちに手出しをするな」リーゼロッテはハイオークに勝つ女です。リーゼロッテが(ケガをしましたが)師に勝ち、兵たちを退けます。オーギュストの水晶の首輪はリーゼロッテが外します。
「すまない」「私たちは夫婦だからな」

第4章
オーギュストは、蜂蜜ケーキを持ってダリューンを訪れます。人間を襲い生気を吸っていたのはダリューンでした。死期が近いからです。
「嫁が焼いたケーキだ。うまいぞ」「ケーキでは寿命は伸びないからな」オーギュストは、「ケーキに50年分ほどの寿命を入れておいた。食うも食わぬも好きにしろ。だが、もう、人間は襲うな。嫁は王女だから、民が死ぬと悲しむんだ」
「わかった。ケーキを食うことにする。……おまえ、変わったな」
オーギュストとリーゼロッテは、変装して城下に行きます。昨日、買い物をしぞこなったので、買い物をするためです。ドレスを買い、「似合うだろうか?」「なんてかわいいんだ」ときゅんきゅんするオーギュスト。リーゼロッテはふふと笑います。「笑った!かわいい」
師が、妻と一緒に旅装で歩いているところに行き合わせます。師は国に戻ると言います。「王妃陛下にはもうついて行けない。姫様にひどく当たっておられるのに、私は止めることができなかった。すまない」「師よ。もっと学びたかった」「私が教えることはもうありません。昨日の戦いは見事でした。腕を上げましたな。王妃陛下は帝笏を探しておられます。アラン王子を王位に付けたいのです」「弟は聡明だ。帝王教育をほとんど受けてない私より、アランが国王になるほうが国民の利益になる」「アラン王子の立王子の礼が終われば襲撃が激しくなりますぞ」「帝笏などないぞ。父上が言っていたが、国家が破産しそうになったとき、潰して売ってしまったそうだから」オーギュストは、帝笏か……と呟きます。
リーゼロッテの名誉を回復してやりたい。オーギュストは保護者気分で、リーゼロッテの幸せを願っています。
買い物をしたあと、城に戻って、ゴブリンに帝笏を作らせます。宝石をいっぱいはめ込んだ帝笏です。いらない水晶を全部はめ込みました。ダイヤモンドみたいで綺麗です。
リーゼロッテは再び蜂蜜ケーキを作ります。小麦粉で作ったため、ダリューンにプレゼントしたケーキより上等です。母上に教えて頂いたのだ。父上も母上も、我が国の平和と繁栄と民の無事を祈っておられた」
魔王は、嫁に頼られたと喜んでいます。「提案がある」「わかった。そうする。ありがとう」

第5章
神殿で、アラン王子の立王子の礼が厳粛に行われています。
そこに入ってきたリーゼロッテ、帝笏を持っています。
村娘のようなドレスを着て、髪は結わず、化粧もしていませんが、神々しいほどの美しさです。
「魔王の嫁だ。狼藉者を射殺せっ」
義母のダルシィが叫びますが、アランは止めます。
「姉上。逢いたかった。元気でいらっしゃいましたか?」
「この帝笏はアランのものだ」
護衛兵のフリをしていきさつを見ているオーギュストはとまどいます。
打ち合わせでは、帝笏を持つリーゼロッテが王女宣言をして、国に戻るはずだったのです。
「いい国王になって、民を幸せにしてくれ。私は死んだと思ってくれ」
「姉上っ!」弟は泣きます。「泣くな。そなたは国王だ」
リーゼロッテが戻っていくとき、姫の背中に向かって弓矢が一斉に射られますが、矢は一本も当たらず、地面に落ちます。魔王の魔法によるものでした。リーゼロッテがふりかえり、義母を睨むと、義母は腰を抜かして失禁し、座り込んでしまいました。
リーゼロッテの名誉は戻りました。
魔王城。帰らなくてもよかったのか?」「私は勇者だ。魔王を殺さなくてはならないからな」オーギュストには、愛している、と聞こえます。
リーゼロッテはチーズの燻製を作ります。「なんと美味い。私は幸せだ」「もっとうまいものを作ってやるから、いっぱい食べてくれ」

エピローグ
サラマンダーと戦い、屠ってしまうリーゼロッテ。「この分だと、魔王討伐も夢ではないな」「ああそうだ。私はオマエを殺してやる」ツンツンしていますが、リーゼロッテはオーギュストが好きで好きで仕方ない。オーギュストも嫁の尊さにテレテレしています。※リーゼロッテを女言葉にするべきでしょうか。
                               以 上

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編集者からOKが出た企画書は有料200円で公開しています(ネタバレになるからです)。ここから下は実際に編集部からゴーが出た企画書です。(私はAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。)

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