ポルノ小説は、一盗二婢三妾四姫五嫁六巫を書くべきです。
江戸時代に生まれた言葉に、一盗二婢三妾四妓五妻というのがあります。
男性が興奮する女性の順番を表す言葉です。
一番興奮するのは、人のものを盗むこと、不倫です。
二番目に興奮するのは、婢、下女、メイド。
三番目はお妾さん。愛人。
四番目は娼妓、芸妓などの水商売の女性。今でいうと風俗嬢やホステスさん。
五番目は妻なんだそうです。
一の盗むは、人のものを盗る、不倫ものです。ポルノ小説の定番ですね。義母ものは父の妻を盗る話です。兄嫁とか、社長夫人とかも一盗になりますね。
二の婢は、下女やメイド、お手伝いさんですが、フランス書院美少女文庫では、はじめ、婢はありませんでした。
青橋由高さんがメイドもので企画書を出したところ、担当編集者が、「メイドなんて現実感がない。ボツ」と言ったのを、「メイドは身近にいて世話をしてくれる存在。男の夢だ」と説得して出版したところが大売れ。それ以降、メイドもの、お手伝いさんものが解禁になったそうです。
三の妾はたくさんありますね。調教物で、女奴隷を飼う話はこれにあたります。
四の妓は、実はほとんど存在しません。「お金を出したら抱ける存在は、ありがたみがなくて、官能性が乏しい」というのがポルノの編集者の考え方です。
ですが、私は、舞妓さんとか高級娼婦とかだとありがたみがあるんじゃないのかと思っていて、「舞妓調教」を書いて、幻冬舎で出版しました。
これは幸い3刷しましたが、単発のヒットで終わり、風潮を変えるところまで行きませんでした。やはり水商売の女性をヒロインにするのはやめておいたよさそうです。
妓ではなく、姫、あるいは嬢を書くべきです。手が届かない高嶺の花は、男性の憧れです。
五の妻がポルノ小説でたくさん出てくるようになったのは、最近のことです。
嫁はいつでも抱ける存在だからエロくない、高嶺の花とセックスするから男性は興奮するんであって、嫁がヒロインではポルノにならない、というのが、ポルノ小説の版元の考え方でした。
ですが、私は違うと思っていました。
未婚率が上がり、少子化が進んでいる現在、清楚でかわいくて、自分だけを愛してくれて、エロエロに乱れてくれて、家事をしてくれて、自分の子どもを妊娠してくれる嫁というのは、男性の理想の存在であるはずだと思っていました。
○○は俺の嫁という言葉もあるぐらいなのに、嫁がNGだというのはおかしいと思っていて、編集者と相談し「My姫」で結婚と妊娠エンドを書きました。フランス書院で、嫁と孕ませを書いたのは私がはじめてだったんですよ。「My姫」は売れて3刷しました。2008年のことです。それ以来、孕ませや種付け、結婚が解禁になったんですよ。
さらに六として、巫女やシスターを上げておきたいと思います。清楚で純朴、真っ白な存在を汚すというのは男の夢ですよね。
男性が理想とするヒロイン像は、時代とともに変わってくるのだと思います。次の時代の新しいヒロインを作るのは、編集者でも既成の作家ではなく、お若い作家さん、これを読んでいるあなたですよ。素敵なヒロインを書いてくださいね。
ポイントのおさらい。
1.現在受けるヒロイン像は、不倫(兄嫁、義母)、メイド(お手伝いさん)、女奴隷、姫(お嬢様)、嫁、巫女。
2.男性の理想とするヒロイン像は、時代とともに変わってくる。