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作家志望者が作家に幻想を抱いている5つのこと。

編集者が作家にぺこぺこする? それは太宰治が描いた幻想です。

 太宰治の遺作「グッド・バイ」がまさにこの幻想でした。作家はえらそうにふんぞり返っていて、ロイド眼鏡のまじめな編集者が下手にでていました。太宰が生きていたときは作家はえらそうでも良かったのかもしれませんが、太宰が死んでから74年にもなります。
 令和の現代。作家は下請の個人事業主、編集者はメーカー側の発注者。どちらの立場が強いかは言うまでもないことです。
 もちろん、作家が売れたら逆転しますが、売れなくなったら手の平を返されます。そして、永久に売れ続ける作家はいません。
 編集者と作家はビジネスパートナーであって、それ以上でもそれ以下でもありません。(アマゾンアソシエイトに参加し収入を得ています)

おもしろい小説を書けばデビューできる? それはバクマン。が描いた幻想です。

「バクマン。」で主人公のおじさんが言います。「おもしろい漫画を描けば掲載される」
 「おもしろい小説」であっても、レーベルカラーに合ってなければ落選します。

応募規約なんて無視しても内容さえ良ければデビューできる? それは「響~小説家になる法~」が描いた幻想です。

 小説家漫画の響は、手書きの小説を名前も書かずに編集部に送ったら、奇特な編集者が読んでデビューしましたが、それは響が描いた幻想です。
 新人賞以外の投稿を、編集者は読みません。封も切らずにごみ箱に捨てます。

作家は締め切りに苦しんでいる? それは雑誌が売れていたときの幻想です。

 小説雑誌が売れていたとき、雑誌の締め切りは絶対でしたから、締め切りに苦しむ作家はいました。ですが、今は小説雑誌が売れず、雑誌に小説が乗ることは少なくなっています。長編書き下ろしの場合、締め切りは融通が利きますので、締め切りに苦しむ作家ってあんまりいないような気がします。
それはいいことではなく、昔に存在した雑誌掲載の小説をハードカバーに収録して、さらに文庫で発売するという錬金術がなくなってしまった、という貧乏話です。 

サイン本は付加価値がついて高くなる? それは村上春樹が作り出した幻想です。


 村上春樹のサイン本は5万円から10万円で取引されています。すごいですねー。本そのものの価値ではなく、村上春樹のサインに価値があるからです。

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